2023/8/13   5:00 ⽇本経済新聞  電⼦版

認知機能が低下すると⾃分で判断することが困難になり、預貯⾦や不動産などの財産管理、様々な契約などに⽀障を来す。親がそうなったらどう対応するのかも、家族で話し合って決めておきたい。

親が元気なうちに後⾒を

⾃分で判断ができなくなったら「成年後⾒制度」を利⽤することになる。成年後⾒制度には「法定後⾒」と「任意後⾒」の2つがある。

前者の法定後⾒は⽂字通り、⺠法の規定に従って判断能⼒が⼗分でない⼈を保護する制度だ。家庭裁判所が選任した後⾒⼈が預貯⾦を管理したり、必要な契約を⾏ったりする。

後者の任意後⾒は⺠法の後⾒制度の規定を補完する「任意後⾒契約に関する法律」に基づいて運営される。利⽤者は判断能⼒があるうちに後⾒⼈になってほしい⼈と契約を交わしておく必要がある。

ファイナンシャルプランナーの⼭⽥静江さんは親が元気なうちに早めに任意後⾒契約を結んでおくのがいいと助⾔する。

「認知症になってから利⽤する成年後⾒だと、⼦供は希望しても後⾒⼈になれず、親の財産管理に関与できなくなってしまうことがある。任意後⾒なら、複数の⼦供が後⾒⼈になって共同で親をサポートすることも可能だ」任意後⾒契約は公正証書によって⾏う。契約の際に財産管理の具体的な内容も決めておけ る。気を付けたいのは、親の判断能⼒が低下した際に契約を発効させるには、家庭裁判所による「任意後⾒監督⼈」の選任が必要なことだ。監督⼈は原則として弁護⼠や司法書⼠、社会福祉⼠、税理⼠などの専⾨家が選任され、後⾒⼈が契約内容に沿って適正に任務を遂⾏しているかを監督する。監督⼈には、家庭裁判所が決めた報酬を⽀払う。

⺠事信託を検討する⼿も

アパートや貸事務所、店舗、駐⾞場などの賃貸業を⼿掛ける親なら、賃貸⽤不動産については「⺠事信託(家族信託)」を利⽤するという選択肢もある。

不動産管理は、新規利⽤者の募集から修繕、建て替え、売却に⾄るまで多くの契約⾏為を伴う。契約ができなくなったら事実上、不動産業を継続するのは難しい。親が元気なうちに⺠事信託を組成して⼦供に管理を委託しておけば、借り主に迷惑をかけることなく円滑に事業を引き継げる。

「⺠事信託は組成の際に専⾨家に⽀払う報酬が何⼗万円にも上り、⼀般家庭にはあまり勧められない。しかし、親が賃貸不動産オーナーの場合は検討に値する。⺠事信託は任意後⾒と併⽤できるので、賃貸物件は⺠事信託、その他の財産の管理は任意後⾒と使い分けることもできる」(⼭⽥さん)

逆に親の財産が預貯⾦だけであれば、任意後⾒契約も不要かもしれない。親が利⽤する⾦融機関で⼦供が親の代理⼈となる⼿続きをしておけば、親に何かあった場合でも親の⼝座から必要な資⾦を動かせるからだ。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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