富裕層の「タワーマンション節税」がついに終了か?その1

■2024年1月、タワーマンションの税金が大きく変わります

今世間を賑わせているのが、「タワーマンション節税」が税制改正によって封じ込められることになります。ことの発端は今年1月に行われた国税庁の有識者会議において改正の方針が固まったとの報道があったためである。適用は2024年1月からだが、どんな改正が行われ、結果どんな人たちに影響が及ぶのでしょうか。

まず、不動産を所有するとかかる税金として代表的なものは、所有している期間中に毎年課税される固定資産税、都市計画税と、相続時に相続人に対して課せられる相続税です。

 このうち、タワーマンションをめぐって最初に問題となったのが、固定資産税負担です。

 固定資産税は土地と建物に対して課せられる税金ですが、分譲マンションの多くは、土地は敷地権の共有、建物は区分所有となっている。このうち土地部分の固定資産税は敷地全体の固定資産税評価額を持分割合で、建物は区分所有面積に共用部面積を持分に応じて案分したものを加えた部分について課税されます。

タワーマンションは時価と課税評価額の差が大きい

 マンションは戸建て住宅と比べて土地が高度利用されているため、戸当たりの所有面積は小さい。特にタワーマンションがそうで、敷地面積が4000坪あっても住戸が1000戸もあれば、単純計算で戸当たりの土地所有面積は4坪に過ぎなくなる。したがって都心部の土地であってもマンションなら土地の所有権が小さいがゆえに固定資産税評価額(総額)も低くなる。

 特にタワーマンションなどの超高層マンションは上層部に行くほど時価は高くなり、戸当たりの時価と税務上の評価額の乖離(かいり)が大きくなる。これでは税の公平性が保てないということで行われたのが2017年の税制改正で、階層によって評価額に差をつけ、高層部にいくほど評価額を高くするよう調整されました。

 今回の改正では、さらに相続発生時点での相続税評価額にもメスを入れたのが特徴だ。相続税評価額の計算は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額をベースにする。路線価はおおむね公示価格の8割相当とされる。固定資産税評価額が同じく7割相当なので、固定資産税評価額よりもやや高めに設定されているが、昨今のように不動産価格が急上昇しているような場合、時価との乖離は大きくなる。

 注意すべきは今回の改正対象はタワーマンションだけでなく、マンション全体について相続時での評価額の算定方法を変えるという点です。

■「億ション」なのに相続税はわずか12万円

国税庁の資料には、東京、福岡、広島でのマンションの実例が掲載されている。東京都内にある43階建てのタワーマンションの実例。23階67.17m2の住戸の実勢価格(時価)は1億1900万円。ところが相続税評価額を算出すると価額は3720万円。なんと実勢価格は評価額の3.2倍にもなっている。 相続人が子1名とすると、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)3600万円を引くと課税価格は120万円。マンションだけが相続財産だとすれば、税金はわずか12万円(税率10%)となる。

同資料では福岡のマンション(築22年、9階建ての9階部分、78.2m2)での実勢価格との乖離が2.36倍、広島のマンション(築6年、10階建ての8階部分、71.59m2)で2.34倍などと実例を示しながら、タワーマンションとは呼べない普通のマンションでの相続税評価額が実勢価格と乖離しているさまも掲げている。 マンションでの乖離率の平均は2.34倍と言われている。つまり時価1億円のマンションであれば評価額は4273万円(1億円÷2.34)になる。タワーマンションに限らず、マンションは現金で持つよりもはるかに税負担の少ない、いわば節税商品のような役割をもってきたことがわかります。

富裕層の「タワーマンション節税」がついに終了か?その2

プレジデントオンラインより

■マンションと戸建てとの税金格差を是正へ

 そこで今回予定されている改正では、実勢価格との乖離率が1.67倍以上になる場合においては、「相続税評価額×乖離率×0.6」で評価することになった。「相続税評価額×乖離率」でいったん実勢価格に調整しなおしてから0.6掛けする根拠はなんだろうか。

 これには一応の理屈がある。戸建てにおける平均乖離率は1.66倍であるからだ。戸建てと同じ水準の乖離率以下ならオーケー。それ以上の場合はいったん時価に戻してから、戸建てと同様の調整を掛ける、つまり1÷1.66=0.6だから、これによって戸建ての場合との格差を是正しようとしたのである。

 この改正が適用されるのは2024年1月1日以降、相続や贈与によって取得する財産だ。タワーマンションだけが対象ではなく、マンションの場合はすべてが該当する。

 さてここで困った問題が発生した。時価と評価額の乖離に着眼して相続税対策を行ってきた人たちだ。これまで時価の3~4割に評価額が圧縮されることによって、大きな節税が実現できるはずだった富裕層にとっては、まさに「寝耳に水」ともいえる改正なのだ。

■12万円だった相続税が、42倍の508万円に

 さきほど掲げた東京都内のタワーマンションを例にとると、乖離率は3.2倍であるから

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3720万円×3.2×0.6=7142万円

課税評価額:7142万円-3600万円(基礎控除)=3542万円

相続税:3542万円×20%-200万円=508万円

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 なんと496万円、42倍もの大増税ということになる。

 「父さん(母さん)が死んでも税金は大丈夫」

 と思っていた相続予定の人たち(息子や娘)には計算外の増税である。今年中に亡くなれば、想定内だが、まさか「今年死んでくれ」とはならない。相続税対策のやり直しを迫られる世帯が急増するだろう。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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