2024/2/12付 ⽇本経済新聞  朝刊

マイナス⾦利政策の解除への準備は着実に進んでいる――。内⽥真⼀⽇銀副総裁が8⽇講演し、そんな印象を与えた。解除後の政策の姿についてより踏み込んで説明したからだ。

住宅ローン、特に⼈気を集める変動⾦利型ローンの利⽤者にとっては⼀段と気になる話になってきたのではないか。

内⽥⽒の講演を踏まえて結論から先に書いておこう。マイナス⾦利が終わっても、既に変動⾦利ローンを借りている⼈にとって重要な基準⾦利の引き上げは、多くの銀⾏にすぐに広がることはなさそうだ。その理由を以下で説明する。

まず知っておくべきなのは、変動型ローンの基準⾦利は短期プライムレート(1年未満の貸し出しの基準⾦利、短プラ)に⼀定幅を上乗せして決めるケースが多い点だ。

その短プラ(本稿での短プラは最も多くの銀⾏が採⽤している最頻値、⽇銀調べ)は、実は2016年のマイナス⾦利政策導⼊時には下がらなかった。最後に低下したのは09年だ。⽇銀の政策⾦利だった無担保コール翌⽇物⾦利(借りた翌営業⽇に返す銀⾏間の資⾦の⾦利)誘導⽔準を0.3%前後から0.1%前後に下げた後である。

従って、逆に⾔うと翌⽇物⾦利が0.1%を超えて上がるなら短プラ引き上げが広がる可能性もあるのだが、内⽥⽒は講演でマイナス⾦利終了時の対応についてこう語った。「仮に(翌⽇物⾦利が0〜0.1%で推移していた)マイナス⾦利導⼊前の状態に戻すとすれば、現在の翌⽇物⾦利はマイナス0.1〜0%なので0.1%の利上げになる」。解除後の⾦利の上限を0.1%にするとの⽰唆だ。とすると短プラは上がりにくい。

もちろん、翌⽇物⾦利の上限を0.1%にしても、⽇銀が追加的な利上げを急速かつ⼤幅に進めるとの観測が広がれば、3カ⽉物などのより⻑めの短期⾦利が上がり短プラに影響を及ぼし得る。

しかし、内⽥⽒はこうクギを刺した。「仮にマイナス⾦利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な⾦融環境を維持していく」。過度の⾦利先⾼観の強まりで3カ⽉物などの⾦利上昇に拍⾞がかかる現象は起きにくいと⾒られ、やはり短プラは上がりそうにない。

以上のように、⽇銀は住宅ローン⾦利への影響を抑える⼀定の配慮をしそうだ。マイナス⾦利が終了しても短プラや変動ローン基準⾦利は多くの銀⾏ですぐに上がらない公算が⼤きいのだ。ただ、注意事項が3つある。

第1に変動ローンの基準⾦利を短プラに基づかない⽅式で決めている銀⾏もあるので確認してほしい。マイナス⾦利解除時に基準⾦利を上げる可能性もあるからだ。

第2に今の住宅ローンは基準⾦利ではなく、そこから優遇幅を差し引いた⾦利(適⽤⾦利)で貸すのが⼀般的だ。基準⾦利が上がらなくても、マイナス⾦利終了に伴って優遇幅が縮⼩し、適⽤⾦利が上がるケースが出てきても不思議はない。ただし、既に借りている⼈の優遇幅は当初の⽔準が返済終了まで維持されるのが原則。適⽤⾦利が上がり得るのは新たに借りる⼈だ。

第3に既に借りている⼈も、マイナス⾦利が終わった後の追加的な利上げ局⾯では基準⾦利上昇で適⽤⾦利が上がる可能性がある。内⽥⽒の⾔葉を踏まえると、⽇銀の急激な利上げはなさそうだが、⾦融政策の正常化がマイナス⾦利解除だけで終わるとは決めつけられない。⽇銀の情報発信に注意を払ってほしい。

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