政府、24年にも法改正 ⼤規模修繕しやすく

政府は海外に住む分譲マンションの所有者向けに代理⼈による管理制度を創設する検討に⼊った。所有者本⼈が不在でも、代理⼈の判断で⼯事などで⽴ち⼊れるようにする。⽼朽化したマンションの増加に合わせ修繕⼯事の⼿続きを簡素にする。

法相の諮問機関である法制審議会で議論し、2024年をメドに区分所有法の改正をめざす。海外の投資家による物件保有や海外転勤が増えており、所有者が不在だったり、連絡が困難だったりする場合の⼿続きを求める意⾒があがっていた。

いまも所有者が個別に委任契約を結んで代理⼈を置くことはできる。代理で担える⾏為が法律上明確でないため、実際は海外の所有者に確認を取る場合が多い。連絡が滞り、マンション全体の管理が⾏き届かなくなる懸念がある。

念頭におくのが配管や配電網が⽼朽化し、共⽤部分のみの修繕では効果が出にくいケース だ。個⼈が所有するそれぞれの部屋にも⼯事を広げる必要がある。政府は法改正により代理⼈の判断で専有部分への⽴ち⼊りや⼯事をできるようにする。

海外の所有者にとっては代理⼈を選任することでマンション管理の⼿間が減る。 国内の代理⼈が代わりに管理費を⽀払えるようにする条項を加える案も検討する。

不動産サービス⼤⼿CBREによると、2021年の⽇本での不動産投資のうち3割は海外投資家だった。

22年の不動産取得額の⾒通しについて「昨年より増加する」と答えた海外投資家の割合は74%となっており、さらに増える可能性がある。企業の海外進出などにより⼀時的に国外に住む⽇本⼈も増える⾒込みだ。

国⼟交通省の調査によると、21年末時点で全国に249万⼾ある築30年以上の分譲マンションは20年後に2.4倍の588万⼾になる⾒通しだ。マンション全体の価値を維持するためには修 繕⼯事が必要になる。

区分所有法の改正では、部屋の所有者の所在が不明で管理に⽀障が出た際の対応も検討す る。裁判所が代理⼈を選任し、弁護⼠や司法書⼠、マンション管理⼠といった専⾨家が代わりに専有部分を管理できるようにする。

⽔漏れやごみの放置などで他の居住者の暮らしに悪影響が及ぶ事例を想定している。