本日は、昭和のバブルと令和のバブルの違いとその影響についてお伝えしたいと思います。これらの時期を比較することで、現代の不動産市場がどのように形成され、どのような変動を経験してきたのかを理解することが可能となります。
まず、昭和のバブルが発生した1985年から1989年までの期間と、現在の令和時代のバブルを比較すると、その発生原因と市場の動向に顕著な違いが見られます。特に、令和のバブルは新築マンション市場における価格の急騰が特徴的で、一般的な給与所得者が購入できる範囲を超え、都心の6区では坪単価1000万円台という水準にまで達しています。これに対して昭和のバブル期と比べて新築マンションの供給数は半減し、これが供給と需要のバランスを崩し価格上昇に寄与しています。
現在、日本の不動産市場には高騰の傾向が見られます。
これは主に以下の要因によるものです。
【コロナ禍による住まいの見直し】
多くの人々が自宅での生活や仕事を余儀なくされ、その結果、住環境の改善を求める動きが高まりました。これにより、特に都心部や利便性の高い地域の不動産需要が増加しました。
【資材高騰】
コロナ禍だけでなく、ウッドショックやウクライナ情勢による資材高騰も不動産価格の上昇に拍車をかけました。
【円安と海外マネーの流入】
2022年10月に記録された「1ドル=150円」の歴史的な円安も不動産価格の高騰に影響しています。円安により日本の不動産の魅力は高まり、特に2020年後半から海外のファンド系マネーが日本の不動産市場に流入しています
主にこれらの要因が日本の不動産価格の高騰に寄与しています。
令和時代の不動産バブルは、昭和時代のものとは異なります。昭和時代のバブルでは、バブルがはじけると同時に全体的に価格が下落しました。しかし、今回の令和のバブルでは、不動産の価格は地域により異なる傾向が見られます。
まず、新築マンションの価格が上昇しているのは主に都市部や利便性の高いエリアに限られています。その一方で、地方の空き家などの価格は上がっていないというのが現状です。これを「市場の二極化」と呼んでいます。
さらに、”三極化”という現象も進んでいます。三極化とは、1つ目は価格が維持、あるいは上昇する地域、2つ目は価格が下落を続ける地域、3つ目は価格が限りなく無価値、あるいはマイナスになる地域の3つに分かれることを指します。そして、価格が維持、あるいは上昇する地域はほんの一部で、大半の不動産は今後価格が下落していくと予想されています。
つまり、全ての不動産が一様に価格上昇をしているわけではなく、地域や物件の種類により価格動向が大きく異なるというのが令和の不動産バブルの特徴です。これは昭和のバブル時代とは大きな違いと言えます。
加えて、円安の影響により海外からの投資が増加しており、これが不動産価格の上昇に一部寄与しています。しかし、海外からの投資は一部のエリアに限られており、全体の市場には影響を与えていません。
以上のように、現在の不動産市場は非常に複雑な状況にあり、一概に「バブル」と呼ぶことは難しい状況です。現場で働く我々不動産専門家としては、このような市場の動向をしっかりと把握し、顧客に適切なアドバイスができるよう努めてまいります。
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