家計の⻑期的なプランを考える際に住宅を購⼊するか、賃貸に住み続けるかで悩む⼈は少なくないだろう。特に⼦どもが⽣まれて家族が増えると持ち家か賃貸かによって家計のやり繰りが⼤きな影響を受ける。持ち家と賃貸の特徴を踏まえたうえで、⼦育て世帯が住宅を選ぶ際のポイントを押さえておこう。

「家を買うのか、買わないのか決めきれない」。こう話すのは⼤学教員の40代⼥性。家族は公務員の夫と⼦ども2⼈で、2LDKの賃貸アパートに10年以上住んでいる。今年春に次⼥が⼩学校に⼊学したのを機に購⼊を検討したが、踏み切れなかった。

⼦どもの今後の進学先によっては引っ越しをする可能性があるほか、住宅価格の⾼騰で今の住まいと同じ程度の間取りでも多額の住宅ローンを組む必要があるためだ。「何を⽬安に判断したらいいのだろうか」と漏らす。

購⼊と賃貸でそれぞれの費⽤総額はどうなるのか。三井住友トラスト・資産のミライ研究所が、⾸都圏在住で⼦どもありの30歳代夫婦を前提に持ち家と賃貸で50年間にかかる費⽤を試算したところ、持ち家は概算で8310万円、賃貸は8235万円となった。差額は75万円にとどまる。

持ち家は5100万円の⼾建てを購⼊し、賃貸は3LDKで家賃⽉15万円のマンションに30年間住み、⼦どもの独⽴を機に31年⽬から⽉10万円の物件に転居すると想定。「家の広さや住む地域が同じといった条件なら、持ち家と賃貸で総費⽤は⼤きく変わりにくい」と同研究所の丸岡知夫所⻑は説明する。⾦額の⽔準に差はあるが、⾸都圏以外の都市部でも当てはまることが考えられるという。

⼀⽅、50年間の⽀出の推移をみると、持ち家と賃貸で違いがある。持ち家は住宅を購⼊するとき⾃⼰資⾦(頭⾦)や購⼊に伴う諸費⽤の出費がかさむ。築年数を経ると60歳など⾼齢期に⼀定規模の修繕費が必要になりやすい。賃貸は契約更新費で⼩幅な変動はあるものの、ほぼ定額の⽀出が続く。

費⽤以外の違いをみてみよう。まず住宅の設備・仕様⾯では持ち家が賃貸に⽐べ充実していることが多い。対⾯式キッチンで⼦どもを⾒守りながら家事ができたり、各部屋の収納スペースが広かったりする。「暮らしやすさでは持ち家に優位性がある」(丸岡⽒)との⾒⽅は少なくない。

家族構成の変化があっても、持ち家は間取りの変更といったリフォームで対応することが可能。賃貸は⼀般に⾃由にリフォームをすることは難しい。⼦どもが増えたときや⼦どもの独⽴で部屋が余ったときは、引っ越しで適切なサイズの物件を選ぶのが⼀案になる。

賃貸は働き⽅の変化に柔軟に対応できるのが強みだ。転勤や転職で勤務場所が遠隔地に変わっても転居しやすく、負担は引っ越しの費⽤程度で済む。⼀⽅、持ち家は売却などの⼿間やコストがかかる。ファイナンシャルプランナー(FP)の⽵下さくら⽒は「住宅ローンを返済している間は貸すことも難しく、転勤の際に単⾝赴任になりやすい」と話す。

⼦育て世帯にとって⼤きいのは教育費との兼ね合いだ。⼦の進学先によっては費⽤が膨らみかねない。賃貸住まいなら家賃の安い物件に転居してやり繰りすることも可能だが、「持ち家は頭⾦で貯蓄を取り崩したり、ローン返済が重かったりすると家計の余⼒が限られるケースがある」とFPの佐藤陽⽒は指摘する。

では持ち家か賃貸かを選ぶときのポイントは何か。まず考える必要があるのが夫婦の働き⽅だ。会社員なら転勤の可能性や頻度について⼤まかな⾒通しを⽴てたい。転勤が多い職場なら、賃貸にするのが⼀案だ。佐藤⽒は「将来にわたりどんな働き⽅を希望しているのか、転職や独⽴の可能性はあるのかなども含めて話し合うことが⼤切」と助⾔する。

遠隔地に転居する可能性が低く持ち家を選ぶ場合は、ローンの返済を続ける収⼊を確保できるかを検討する。物件価格が上昇していることから、共働きの夫婦が協⼒して住宅ローンを組むケースが増えている。それぞれが1本ずつ契約するペアローンや夫婦の収⼊を合算して1本のローンを借りる⽅法がある。いずれも夫婦2⼈分の収⼊を前提とするため、例えば転職や独⽴でどちらかの収⼊が⼤幅に減ると毎⽉の返済が厳しくなりかねない。

教育⽅針を夫婦で擦り合わせておくことも⽋かせない。⼦どもが⼩学⽣以下なら、まず中 学・⾼校の進学先を考える必要がある。公⽴校に進む場合は、無理のない通学圏内のところに通う可能性が⼤きいため、住宅は購⼊が選択肢になる。私⽴を希望するなら、受験の結果次第では進学先が遠隔地になるケースもある。賃貸に住んで柔軟に対応できるようにしておくのも⼿だ。中学・⾼校だけでなく、⼤学卒業までの教育費を⾒積もることも重要だ。学費は⼤学で⼤きく膨らむのが⼀般的。私⽴⼤への進学を視野に⼊れ、教育費の確保を優先したいといった場合は賃貸が⼀案になるだろう。購⼊する場合でも、将来の⼤学の費⽤を踏まえて慎重に検討する必要がある。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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