2023/12/12 2:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

中古住宅販売のカチタスが空き家を買い取り、再⽣販売する事業で存在感を⾼めている。2024年3⽉期の中古⼾建ての販売件数は7529件と5年前より4割増える⾒通し。資材費や⼈件費の上昇で建築コストが膨らむなか、リフォームで既存の⽊材を⽣かし価格を抑えて住宅を提供。部分改修などサービスの幅を広げつつ、地⽅郊外の家族層を取り込む。

「新築の⼀軒家と変わらないきれいさで正直驚いた」。埼⽟県秩⽗市在住の男性会社員(37)は23年6⽉に市内の中古⼾建てに家族4⼈で引っ越した。築40年の⽊造⼾建てを約2100万円で購⼊し、3カ⽉かけて内装を全⾯リフォームした。以前住んでいた賃貸アパートに⽐べて庭を含めた居住⾯積は2倍ほどに増えたという。

周辺の新築住宅の価格は⽴地によっては3500万〜4000万円ほど。男性は「新築は数年前よりも⼤きく値上がりしているし、⼊居まで1年近くかかることからすぐに⼊居できる点も魅⼒的に映った」と話す。2階部分は現在4歳の⻑男が成⻑した時の⼦ども部屋として使う予定だ。

男性に⼾建て住宅を販売したのがカチタスだ。同社は⼈⼝5万〜30万⼈の地⽅都市を中⼼に空き家を仕⼊れ、改修などで住める状態にしたうえで販売するビジネスを⼿がける。リフォーム産業新聞(東京・中央)の調査によると、買い取り再販の販売⼾数で10年連続でトップを維持するなど、競合他社から頭ひとつ抜けている。

主要顧客層は30〜50代で世帯年収は200万〜500万円。住宅価格⾼騰と賃⾦の伸び悩みで中古マンション購⼊の年収倍率も全国平均で7.27倍(22年、東京カンテイ調べ)と拡⼤傾向にあるなか、同社は約4倍と⼿の届きやすさが売りだ。新井健資社⻑は「物価⾼で住宅に割ける予算が限られるなかで若い層の受け⽫にもなっている」と話す。

カチタスが好調を維持できる理由が徹底したコスト管理だ。同社は仕⼊れ値が安い築30〜40 年の物件を取得し、まずシロアリや⾬漏りのリスクなど住宅の状態をじっくり調べる。過去のデータも参考にしながらリフォーム時に屋根裏や床下を本当に交換すべきか⾒極めることで余計なコストを抑えられるという。

顧客の要望によってリフォームの度合いは変わるが、「新たに使う⽊材の量は新築に⽐べて7 分の1程度に抑えられる」(新井⽒)。販売物件は2年間の買い取り保証が付くほか、耐震性能も⾒直すため、購⼊後に30年以上住める住環境の質を担保していることも消費者を引き付けている。

今後⼒を⼊れていくのが部分改修サービスの拡⼤だ。現在は原則フルリフォームの物件が多いものの、空き家の状態次第ではキッチンや⾵呂場などの⽔回り環境といった特定箇所だけリフォームすれば住めるというケースも少なくない。改修内容の⾒直しで販売価格が1000万円を切ることもあり、中間所得者のニーズが⾒込めるという。

中古⼾建ては物件ごとに築年数や構造も異なるため、営業社員ひとりひとりの経験がサービスの質を⼤きく左右する。新井⽒は「採⽤強化だけでなく教育⾯にも積極的に投資していく必要がある」と語る。価格⾼騰による需要減で住宅業界は苦戦が続くなか、独⾃の成⻑戦略で中古住宅流通のシェアを広げていきたい考えだ。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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