2023/12/18 4:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

2024年4⽉1⽇から相続登記の申請が義務化されることから、実家を相続したものの相続登記をしていないという⽅からの問い合わせが多く寄せられるようになっています。今回は実家の相続と相続登記について考えてみましょう。

相続知ってから3年以内に申請が義務化

2024年4⽉1⽇から、相続登記の申請は以下のとおり義務化されます。

まず、相続や遺贈により不動産を取得した相続⼈に対し、⾃⼰のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った⽇から3年以内に所有権の移転の登記(相続登記)の申請をすることが義務付けられます。

遺産分割により不動産を取得した相続⼈については、遺産分割が成⽴した⽇から3年以内に、その内容を踏まえた所有権の移転の登記を申請することが義務付けられます。

正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適⽤対象となります。この3つのポイントで気になるのは「⾃⼰のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知る」ということが具体的にどんな状態なのかです。例えば、以下の状態のときは、相続登記義務が発⽣するのでしょうか︖

①相続が発⽣したことは知っていても、相続財産の中に不動産があることを知らない。
②相続財産の中に不動産があることを知っていても、どこにあるか分からない。

③相続財産の中に不動産があることを知っていても、遺産分割協議がまとまらず不動産を相続する相続⼈が決まっていない。

「所有権を取得したと知る」の意味とは

筆者が懇意にしている神永司法書⼠事務所の神永信吾⽒によると「①と②は登記の対象となる不動産がない、あるいはあっても特定できていない以上、所有権を取得したことを知ることはできないため、登記の申請義務は⽣じません。⼀⽅、③の場合は、遺産分割協議の成⽴前であっても法定相続分の割合で不動産を取得していると考えられるので、登記の申請義務が⽣じます」ということでした。

遺産分割協議がまとまらず期限内に登記申請できないときは、24年4⽉1⽇から施⾏される「相続⼈申告登記」の申し出を法務局に⾏うことで、過料の対象ではなくなるそうです。この制度は、従来の相続登記⼿続きよりも簡単(提出書類が少なく相続⼈のうち1⼈だけでも⼿続き可能)で、費⽤も安く⼿軽なものになっています。

相続登記義務化の注意点 遺産分割決まらなくても必要

神永⽒は「2024年4⽉1⽇より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。相続財産の中に不動産がある場合は、早めに遺産分割協議と登記の申請をしたほうがよいでしょう」と⾔います。

また、注意したいのは、既に相続が発⽣しているものの、財産は実家しかないので相続登記をせずにそのままになっているケースだそうです。「実家を相続してもすぐに売却するわけではなければ、遺産分割の話し合いや相続登記を⾏わないケースは多々あります。このと き、相続⼈でどのように実家を分けるかを⼝頭のみで決めていることも。とくに法定相続分通りではない分け⽅だった場合、相続登記にあたっては遺産分割協議書を作成する必要があるため、いざ書⾯化する際に、⼝頭で約束していた内容に納得できないと相続⼈間でもめごとになることも考えられます」

このようなもめごとを避けるためには、相続⼈間で合意した内容で遺産分割協議書を作成しておく必要があります。相続登記までの期限が3年というのは、⻑いようで短いもの。早めに相続⼈間で協議を⾏い、時間を空けずにそれを書⾯化することが重要だと思います。

年末年始は家族が集まるタイミングでもあります。相続登記を⾏っていない不動産の有無や遺産分割協議書の有無をお互いに確認したり、相続登記が済んでいなければどのように⼿続きを進めるかという話し合いをしたりするには絶好のタイミングでしょう。相続登記の申請や遺産分割協議書の作成はご⾃⾝でも実⾏できますが、専⾨的なノウハウが必要な⾯もあります。不安であれば司法書⼠に相談するとよいでしょう。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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