「マンションは管理を買え」と⾔われます。では中古マンションにおける管理状態の良しあしは何を確認すればよいのでしょうか︖ 今回は以前からいわれてきたチェックポイントに加え、新たなポイントについても考えたいと思います。

共⽤部に居住者の維持管理スタンスが表れる

昔からよくいわれているのは、エントランスやごみ置き場、駐輪場といった共⽤部をチェックするというものです。例えば、エントランスはそのマンションの顔ともいえる場所です が、きれいに清掃されていない、掲⽰板に半年以上も前に掲⽰された古いお知らせなどがそのままになっている――といった場合、管理に対する意識が⾼いとは⾔えない可能性があり ます。また、「ゴミ出しのルールを守りましょう」といった掲⽰がなされている場合は、ルールを守らない住⺠がいる可能性があるということを意味します。

管理組合の活動状況は議事録で確認分譲マンションでは年に1回以上、総会を開催しなければならず、招集する際に議案書を作成し、総会を終えたら議事録を残すことになっています。議案書には、マンション管理組合の決算や予算、その他の課題に対する対応策などの決議事項が記載されています。議事録は決議の結果や総会参加者から出された意⾒などが記録されています。過去3期分程度を読めば、そのマンションの課題とそれに対する取り組み姿勢がわかることが多いです。このほか、これまでの修繕履歴と今後の⻑期修繕計画をチェックすることで適切な維持管理がなされているかを確認することもできます。

議事録は、利害関係⼈(所有者や賃借⼈、管理組合の債権者、購⼊予定者など直接的に利害関係を持つ⼈)には、正当な理由がある場合を除いて閲覧させなければならないことになっていますので、不動産業者に依頼すれば⼊⼿することができます。ただ、それ以外の資料については開⽰を拒まれることもあります。そのような場合には、売り主にお願いして⼊⼿するなどの⽅法を試みるとよいでしょう。

⼊居世帯の年齢層や管理費滞納の状況も

東⽇本不動産流通機構によると、築30年超のマンション取引⽐率は、2012年は全体の2割程度でしたが、22年は3割を超えました。築年数が経過すると、マンションの建物や設備の⽼朽化だけでなく、マンション所有者(管理組合)の⾼齢化も課題になってくるといわれます。⾼齢世帯が多くなると、修繕⼯事や設備投資に対して積極的になりにくかったり、修繕積⽴⾦の増額も受け⼊れにくかったりする事態が起こりやすくなるようです。⼗分な修繕や必要な設備投資を⾏わない状態が続けばマンションは劣化します。さらに、劣化したマンションは相続放棄されやすくなり、空き家化、管理費や修繕積⽴⾦の滞納という問題も引き起こします。

逆に、常に若い世帯が⼀定割合存在していれば、管理組合の活動が⻑期⽬線になりやすく、中⻑期にわたって維持管理しようという積極的な動きが強くなりやすいと思われます。若い世帯がある程度⼊居しているか、空き家化している傾向がないかどうかをチェックする⽅法としては、次のような⽅法が考えられます。

まず不動産業者に聞いてみることです。地元の不動産業者であれば、どのような世帯が居住しているか、ある程度把握していることもあります。また、⼟曜⽇の昼前にマンションのエントランス付近を散歩してみるという⽅法もあります。若い世帯が多ければ、多くの⼦供たちがそのマンションに帰宅する姿が⾒られるはずです。
管理費や⼤規模修繕積⽴⾦を滞納している世帯の割合も確認したいポイントです。例えば、半年以上の滞納がある部屋が全体の1割もあるとすれば、相続放棄などによって空き家化している可能性もあります。滞納の状況は不動産業者に確認することができます。