国⼟交通省は空き家の活⽤に向けた⽀援策を拡充する。企業やNPOが⼿がける空き家のリノベーション(⼤規模改修)費⽤の3分の1を補助する。急増する空き家を放置すれば、防災や衛⽣⾯で地域に悪影響を及ぼす。危険を取り除き、中古住宅市場の活性化につなげる。
2023年度に空き家対策の事業を⼤幅に⾒直した。空き家を買い取るなどして⼤規模改修した場合に要した費⽤を⽀援する。解体せずに住宅や施設として再利⽤することを想定する。取り壊した場合は費⽤の5分の2を補助する。
地⽅⾃治体や物件の所有者が空き家の活⽤策を探るための調査費⽤についても、国が最⼤半額を負担する。関係者の具体的な⾏動を促し、放置空き家の解消を狙う。
空き家の増加は全国的な課題となっている少⼦⾼齢化が進む⽇本で空き家対策の重要性は増している。
総務省によると、空き家は18年に全国で849万⼾ある。このうち居住⽬的がなく、放置された空き家は349万⼾に上った。適切に管理しなければ、放置空き家は30年までに470万⼾と3割ほど増える⾒通しだ。
空き家が増えれば、倒壊する危険が⽣じる。周辺の景観や衛⽣状態を損ね、防犯⾯でも問題となる。
政府は対策を急ぐ。7⽇には空き家対策を強化する改正関連法が参院本会議で可決、成⽴した。窓や壁の⼀部が壊れているような「管理不全空き家」について、税優遇の対象から外す。所有者に適切な管理を求めて建て替えなどを促す。
23年度税制改正では相続空き家の発⽣を抑えるための特例も延⻑した。亡くなった親らから家屋を相続した⼈が譲渡所得から最⾼3000万円を控除できる仕組みだ。23年末までの時限措置を4年延ばした。
⽇本の住宅全体に占める空き家の割合は18年に13.6%。⽶国や英国、フランスなどはこれを下回るとされる。海外では中古住宅を改修して再販する「フリッパー」と呼ぶ事業者などが空き家の増加を抑えている。
⽇本では⼦育て世帯向けの住宅需要が⾼まっている。官⺠が連携し、空き家を再⽣して流通させる仕組みづくりが急がれる。
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