2024/3/12 5:00 日本経済新聞 電子版
豊富なパウダースノーを求めて北海道を訪れる北米客が増えている。円安に加え海外スキー場の雪不足が背景にある。北海道への直行便がない欧米からもインバウンド(訪日外国人)が集まり、利用実績が新型コロナウイルス禍前の水準を超えるスキー場も出てきた。
「素晴らしいパウダースノーで日本に来て一番いい日になった。天国のようだ」。2月下旬、北海道西部の岩内町にあるスキー場「IWANAI RESORT(イワナイリゾート)」に米国から訪れた男性は驚きを隠さない。
運営するYuki Kamui(ユキカムイ、北海道岩内町)が取り組むのは「キャットスキー」だ。スキー客は「キャット」と呼ばれる雪上車で山頂近くまで行き、誰も滑っていない雪山のパウダースノーを満喫できる。
欧米などからスキーヤーが多く訪れ北海道のスノーリゾートは好調だった(2月、北海道岩内町)
価格は1人1日13万円、12人まで貸し切れるプライベートツアーは1日200万円だ。それでも連日予約で埋まり、利用者数は前シーズン比で約2割増え最高となった。ユキカムイのジョン・グライナー代表は「13万円でも安いと言われる。北海道のパウダースノーはプライスレスだ」と語る。
利用者の9割はインバウンドが占める。特にキャットスキーが盛んな北米からの参加者が多く、今シーズンは利用者の約6割に上った。
イワナイリゾートのキャットスキーは1人13万円と高額だが連日予約が埋まっていた(2月、北海道岩内町)
「今シーズンは雪不足で米国からの宿泊客が増えている」。ニセコエリアでホテルやコンドミニアムを運営する事業者はそう指摘する。同社の宿泊施設では米国客利用が売上高ベースでコロナ前の約2倍に増え、全体に占める割合はオーストラリアに次ぐ2番目になった。
倶知安観光協会によると、前シーズンまで5%に満たなかった米国人宿泊客が、2月は1割を上回った。ニセコのスキー場「ニセコ東急グラン・ヒラフ」(北海道倶知安町)では米国客の増加も後押しし、1〜2月のリフト・ゴンドラ輸送実績はコロナ前を上回った。
ニセコやルスツなどの訪問客は、アジア圏以外ではオーストラリアなどオセアニアからが多かった。季節が真逆で時差も小さいため集客しやすく、コロナ前は豪カンタス航空がオーストラリアと新千歳空港を結ぶ直行便を運航していた。
季節が同じ米国からの顧客は、北半球のスノーリゾートとの取り合いになる。時差が大きく直行便がないこともハンデだった。今シーズンは海外のスノーリゾートで雪不足が目立ったため長時間移動をいとわず、北海道を選ぶ米国客が増えた。
複数の海外スノーリゾートで使える「共通リフト券」も追い風だ。ニセコエリアのスキー場では世界約50のリゾートを対象にした「アイコンパス」が使える。ニセコ東急グラン・ヒラフではパスの利用数が前シーズン比で2倍以上になった。
ニセコに近いルスツリゾート(北海道留寿都村)は米国やカナダなどの著名スキー場と共通の国際シーズンパス「エピックパス」が利用できる。北米からの来場者は増加傾向で、スキー場の売上高は前シーズンに続きコロナ前を上回る見込みだ。
直行便は再開していないがオーストラリアからの訪日客も堅調だ。星野リゾート(長野県軽井沢町)の星野佳路代表は「ニセコに行っていたスキーヤーが旭川周辺を訪れている」とみる。同社が運営するOMO7旭川(北海道旭川市)は1〜2月のオーストラリア人宿泊数がコロナ前比で約8倍に増え、全体の4分の1が訪日客のスキーヤーという。
直近は「ドイツなど少なかった国からの訪日も増えている」(倶知安観光協会の鈴木紀彦事務局長)といい、スキーは直行便なしでも欧米豪客を北海道に呼び込むコンテンツに成長している。
もっとも道内すべてのスキー場がにぎわっているわけではない。小規模スキー場は訪日客の利用が限られるほか、なかには雪不足で今季の営業を断念した施設もある。訪日スキーヤーの目的地の幅を広げ、夏や秋も再訪してもらうにはアクティビティーや異文化体験といったコンテンツづくりが欠かせない。
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