2024/3/10 5:00 日本経済新聞 電子版

ペリー来航からわずか7年後の1860年に日本初のホテル「ヨコハマ・ホテル」が横浜・関内に開業して160年超。みなとみらい(MM)21地区でも近年は外資系を中心に新しい高級ホテルが続々とオープンしている。一方でインバウンド(訪日外国人)が少なく、観光客の9割が日帰りという側面も。
地域のホテルはどう課題を乗り越え、どのような未来を描くのかを探る。

「はとバス観光などでそれなりに集客できるので焦燥感がない」――。

MM21地区のホテルに勤務する関係者は漏らす。総じて保守的でインバウンドの取り込みにも関心が低いという。プロポーズや親子3世代の会食など、横浜市民らのハレの場として愛されてきたのがヨコハマグラ
ンドインターコンチネンタルホテル、横浜ロイヤルパークホテル、横浜ベイホテル東急のホテル「三銃士」だ。いずれもMM21地区の中心部にあり、眺望の良さや利便性の高さから横浜ベイホテル東急の北村裕二総支配人は「宿泊客の8割が首都圏近郊のお客様。憧れのホテルとして開業時からのファンも多い」と自信を見せる。

ただ、目の肥えた消費者からは老舗ホテルに対して「全体的に古い」「水回りをもっと何とかしてほしい」など厳しい意見も多く聞かれる。宿泊需要が喚起される音楽ライブなど大型のイベント時は横浜東急REIホテルのような新しい宿泊特化型ホテルが選ばれつつある。

東京都心部では円安を背景にしたインバウンドの旺盛な需要を取り込んだ外資系ホテルを中心に1泊10万円を超えるなど宿泊単価の高騰が続いている。一方、横浜は「三銃士」と称される人気ホテルですら1泊2万円前後と東京都心との価格差は広がる一方だ。

ただ、変化の兆しは出始めている。ウェスティンホテル横浜(22年6月)やヒルトン横浜(23年9月)など相次ぎ外資系ホテルが開業。1室あたり3万〜5万円というホテルも増えてきた。26年3月にはフォーシーズンズ・ホテルズ&リゾーツの開業も予定している。

ヒルトン横浜はアールデコ調のスタイリッシュな内装が特徴だ(横浜市)

外資系ホテルグループはグローバルな会員組織を持つ例が多く、外国人比率が3〜4割超も珍しくない。またオンライン旅行業者では「羽田から30分ほどと近く、東京よりも格段に安い」と東京と横浜を並列販売する動きもあり、インバウンド需要の取り込みにつながってきた。
こうした外部環境の変化もあり、ここ数カ月は「客室平均単価も5000円程度上昇している」(横浜ベイホテル東急の北村総支配人)。宿泊特化型ホテルにいたっては過去最高を更新しているという。

外資系という「黒船」効果でにわかに盛り上がりを見せているが楽観は禁物だ。「外資系高級ホテルは近年、札幌や福岡など地方都市への進出が旺盛。開業してしばらくはブランド維持のために高価格を維持していても、数年後には値崩れするパターンが多い」とホテル評論家の滝沢信秋氏は警鐘を鳴らす。

東京都心部では2000〜10年にかけてザ・ペニンシュラ東京やザ・リッツ・カールトン東京などの外資系ホテルが相次ぎ進出し、帝国ホテルやオークラ東京など「御三家ホテル」が客室のリノベーションや富裕層向けサービスの拡充を進め客室単価が上昇してきた経緯がある。

横浜ロイヤルパークホテルは2025年1月から大規模修繕のため一時休業を発表した。横浜ベイホテル東急も1泊あたり4万〜5万円のクラブフロアの設備投資やサービス拡充を進める計画だ。国際観光都市に向け、老舗ホテルにもソフト・ハード共に変革の波が押し寄せている。

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