マンション管理組合が大規模修繕で借り入れに頼る動きが加速してきた。2000年代の大量供給物件が修繕期に入り、工事費は上昇。近年は修繕積立金を段階的に増やす予定が狂い、資金不足に陥る例もある。日銀の政策修正で歴史的な低金利環境の変化が予測されるなか、返済可能か目配りが欠かせない。


住宅金融支援機構が手掛ける「マンション共用部分リフォーム融資」は年々増加。最新の2023年度は約196億円と実績を公表している11年度以来最も多くなった。組合が外壁塗装や給排水管補修など共用部分の工事に使える融資で、金額は10年前の3倍に迫る。特にここ1年の増加が大きい。23年度は前の年度比約4割増を記録した。
不動産事情に詳しいさくら事務所(東京・渋谷)の土屋輝之マンション管理コンサルタントは「修繕を必要とする老朽マンション増加が融資増の主因だが、2000年代に大量供給された物件が最初の修繕時期に差し掛かり、工事費上昇に直面した影響も出ているのではないか」とみる。

大量供給期の物件で工事が集中か

不動産経済研究所(同・新宿)によると、全国の新築マンション供給は2000年代、08年のリーマン・ショック前までは年15万戸前後と23年実績の2倍超の高水準で推移していた。大規模修繕は通常十数年に1回の周期で繰り返す。大量供給された物件の工事が近年集中した可能性がある。
一方、資材高などを背景に修繕工事費は上昇している。新型コロナウイルス禍やウクライナ危機などが重なり、鋼材や生コンクリートの価格上昇率は一時、前年比2ケタとなる場面があった。最近は人手不足も深刻で、人件費上昇を求める動きも出ている。

マンション管理に詳しいコンドミニアム・アセットマネジメント(同・千代田)の渕ノ上弘和代表は「修繕費はここ10年ほどで2〜3割高の水準となり、足元では一段の引き上げの要請もみられる」と話す。
修繕に充てる資金が不足しやすい構図も借金依存に拍車をかける。近年の物件では購入当初の修繕積立金を低く設定し、数年おきに上げる「段階式」が多い。18年度の国土交通省調査では00〜09年に完成したマンションは約57%が段階式だ。中には所有者の話し合いが難航し、計画通りに引き上げができない物件も出てきているという。

こうしたケースは3月まで開かれた国の有識者会議でも議論になった。問題視する声はあるが、抜本的な解決策は見えない。築年数が比較的浅い物件でも、積立金だけでは工事費上昇に対応できない場合がある。「住宅金融支援機構と同様の融資を手がける民間ノンバンクの実績も伸びているようだ」(渕ノ上氏)

23年度の国交省調査では修繕計画に対して積立金が不足するマンションは36.6%を占める。
東京都心部のあるタワーマンションでは「計画を精査すると計算上、不足額が5億円前後に膨らんだ例があった」(修繕工事コンサルタント)。
金利が低水準だったのも融資利用を後押ししてきた。住宅金融支援機構の場合、直近の24年7月で返済期間1年以上10年以内の固定型が年1%を切る。11年度と比べ0.8ポイントほど低い。一部の自治体は利子補給の形で助成しており、借りる負担は小さくてすむ。
資金不足だからと安易に修繕を延期・中止すれば、住環境を保てないうえ、外壁のはげ落ちなど周辺にも危険を及ぼしかねない。適切に管理されていない物件は中古での売買も不利になる。

金利上昇 長期的な視点欠かせず

ただ3月に日銀がマイナス金利解除に動くなど将来の金利上昇観測は強まっている。融資は積立金増額などでの返済が原則で、安易な依存は管理組合の財政を不安定にする。土屋氏は「一定の工事費上昇も見込んで積立金不足に陥らない計画を立てるのが前提。融資を使う場合、長期的な組合財政も見据えた議論をしておきたい」と話す。
一方、積立金が不足していて、融資審査が通らない老朽マンションも一定数に上るのではないかとの分析も聞かれる。こうした物件の修繕をどう支援し進めるか。国や自治体などにも重い課題になる。(堀大介)

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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