2024/3/17 2:00 日本経済新聞 電子版

三菱地所レジデンス販売二部の大塚一生リーダー(38)は、分譲マンション販売の主力となる「番町エリアで営業を担当する。10億円を超える物件など、目玉となるような高級物件を多数扱い、会社からの信頼も厚い。その時々の顧客にとっての最適なあり方を、一歩引いた目線で顧客に提示する営業スタイルで信頼を獲得している。

千代田区の皇居西側に広がる、一番町から六番町にかけての番町エリアは高級住宅地として知られる。三菱地所グループは2000年ごろから高級物件の開発を進め、これまで約1000戸を供給してきた。東京23区の新築マンションの平均価格が1億円を超えるなど、マンション価格が高騰するなか、特に番町エリアでは22年に販売した「ザ・パークハウス グラン 三番町26」で、11億5800万円の住戸を含めて完売した。

大塚さんは番町エリアで3月から販売を開始する「ザ・パークハウス 千代田六番町」の販売所長を務める。ザ・パークハウス グラン 三番町26に引き続き、同エリアでの営業担当は3物件目となる。
一般的なエリアでは、結婚や出産などを契機に購入を検討し、広告を見て来店する顧客が中心だ。一方で、経営者など富裕層が多い番町エリアでは、家族の居住用や賃貸用、さらには相続対策など購入動機は多様で、「決めずに来店する顧客も多い」。

新規顧客の開拓は用地担当者と地元不動産業者を回り、顔を覚えてもらった上で、マンション購入を検討しそうな近隣住民を紹介してもらう。「その物件で成約しなくても、他の顧客紹介や別の物件での成約につながる」と、ウィンウィンの関係構築を心がける。

番町エリアに点在する自社販売物件も強みだ。ザ・パークハウス グラン 三番町26では、近隣の自社マンション限定でチラシを投函(とうかん)したところ、「子供が生まれるからもっと広い部屋に移りたい」として購入を決めた住民もいた。

■富裕層向け新たな仕掛け

販売拠点では目の肥えた富裕層の記憶に残るために、必ず新しい取り組みを試す。ザ・パークハウス 千代田六番町では通常の接客ブースのモニターとは別に、透明ディスプレーを導入して、通常のスライドでは見せづらい動画コンテンツの活用も探る。

「一歩引いて客観視し、顧客の人柄や言動を頭の中でイメージする必要がある」と人間観察の重要性を語る大塚さんは、子供の頃は心理学者に憧れていた。学生時代には接客バイトを多数こなして観察眼を磨いた。接客で成果を出せる営業に興味を持ち、中でも顧客と長期間向き合う不動産販売を志した。

入社直後、千葉県市原市の分譲マンションの販売拠点に配属された。40歳代の独身男性が訪れて、ひとりで住むと言って70平方メートルの3LDKの物件を見に来た。疑問に思いながら話していくと、言葉の節々から家族の存在を察し、意を決して尋ねると、病気で入院しがちな親との同居を迷っていた。

「生活が見える方が決断を後押しできる」と、すでに完成している共用部や緑地の写真を顧客に送った結果、親との同居に前向きになり、購入に踏み切って自社初の成約にこぎ着けた。半年近くで10戸以上を成約したとして社内の新人賞に輝いた。

■不動産投資の視点学ぶ

一方で、都内の販売拠点に移った後は高級物件が多くなり、自分がその物件を購入するイメージができず苦慮した。視点を変えるきっかけは入社5年目、マンション販売から収益不動産の売買・管理部門への異動だった。投資利回りの観点から不動産を見ることで、「顧客の動機は多様だと気づけた」。

販売拠点での接客では、冒頭ではマンションそのものより自社ブランドへの理解を深めてもらう。その上で予算や目的を初めて尋ねて、最適な物件のあり方を明確に示す。「その時々で何を求めているかで、何を買うのが最適かは変わる」。主力エリアを持つ高級ブランドだからこその、目先の販売にとらわれない息の長い営業活動を心がける。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

千代田区マンション情報館(株式会社MIRABELL)
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