2023/10/18 0:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

中国国家主席の習近平(シー・ジンピン)が肝煎りで進める巨⼤経済圏構想「⼀帯⼀路」の提唱10周年を記念する国際会議が北京で⼤々的に開かれた。その裏で中国経済を揺るがす未曽有の事態が進⾏している。それは、中国から⽇本を含む外国への⼤規模な資本逃避だ。中国マネーは今、雪崩を打って海外に流出しつつある。

「北海道で中国に絡む違法な電⼦マネー送⾦という容疑で摘発された初の例かもしれない。しかも(スマートフォン上の電⼦決済サービスアプリである)『アリペイ(⽀付宝)』などによる送⾦であるのが現代的だ」。北海道の不動産取引に詳しい事情通が指摘する。

北海道でアプリ経由の違法送⾦を摘発

北海道警千歳署は10⽉4⽇、「地下銀⾏」を営み、中国に不正送⾦したとして、銀⾏法違反(無免許営業)の疑いで、中国籍の2⼈を逮捕した。無免許で第三者から中国への送⾦依頼を受け、「アリペイ」などを使って過去に約26万元(約520万円)を送⾦したとしている。

アリペイは中国の電⼦商取引最⼤⼿、アリババグループが提供するQRコードなどを使った⼈⺠元決済・送⾦システムだ。容疑がかかる事件が発⽣した時期までは、スマホ上で簡単に⽐較的⾼額の分割送⾦も可能だった。

問題は、⽇中両国にまたがる「地下銀⾏」と呼ばれる⾮合法システムを通じた資⾦の頻繁なやりとりの⼀⾓が、⽇本の警察の正式な摘発で明るみに出たという事実だ。当該事件の解明は今後を待つ必要がある。⼀⽅、注⽬すべきは⽇中間の巨額資⾦移動の実態である。今、起きているのは、主として中国から⽇本への⼤量の資⾦流⼊だ。

「この動きは、もはや資本逃避そのものだ。多くは⽇本での住宅や不動産の購⼊に回っている。ビルやアパートの『1棟買い』も増えてきた。裏にあるのは、中国経済の予想外の⼤幅後退と住宅・不動産市場の悪化である。最近は、急激な円安で⽇本の不動産が割安になったのも⼤きい」

⽇中間を頻繁に⾏き来するビジネス関係者は、中国内に充満する⾔い知れぬ不安ゆえに加速する中国マネーの海外流出の実態を明かす。中国の⼤都市部の住宅は2008年の北京五輪の前から⾼騰。北京では5、6年前だったピーク時に五輪前の21世紀初頭の10倍もの値がついた⼈気地域もあった。だがここ数年は下落の⼀途をたどっている。

今、習近平政権が恐れているのは、⽣活不安を背景にした社会混乱だ。就職できない若年層の失業率が20%をはるかに超える現状では、いつ若者の不満が爆発してもおかしくない。

⼀⽅、⽬下の安定を最重視するなら、⼤混乱につながる住宅問題の根治を⾒据えた⼤⼿術は難しい。巨⼤な開発企業群を簡単にはつぶせないのだ。その結果、問題は先送りされ、解決への道筋はまったく⾒えない。この構造を⾒透かす中国の⼀般庶⺠は「住宅価格は、まだまだ下がるに違いない」(湖北省武漢の⺠間企業関係者)と⾒る。

中国経済が⾏き詰まるなか、中国の資産家らは、住宅など⼿持ちの不動産をできるだけ早く現⾦化し、海外に持ち出したい。中国内で資産を持ち続ければ、⽬減りが避けられないからだ。⽂化⼤⾰命など激動の時代を⽣き抜いてきた中国の⼈々は、指をくわえて中国政府の無策を眺めているほど「お⼈よし」ではない。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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