2023/10/15 5:00 ⽇本経済新聞 電⼦版
固定型へ借り換え選択肢
⾜元では、新たに住宅ローンを借りる⼈の⼤多数が変動型の⾦利を選ぶと聞く。⾦利上昇リスクに鈍感になりすぎていないだろうか。住宅ローンの返済期間は⻑い。楽観的な⾒通しを前提にするのは危険だ。
変動型は本来、⾦利上昇時に繰り上げ返済ができるなど、家計に余⼒がある世帯に向く。だが最近は共働きを前提に借⼊可能額の上限近くまで借りて、⾼額のマンションを購⼊する事例がみられる。夫婦の⼀⽅が働けなくなる、⼦どもの教育費が想定を上回るといった事態への余⼒が乏しい。
変動型は、⾦利が上昇すれば返済額が増える。⼀般的には半年ごとに⾦利を⾒直す。元利均等返済⽅式では、⾦利が上昇すれば毎⽉の返済額が同じでも、より多くの割合が利息に充てられ元⾦が減りにくい。早い段階で⾦利が上昇すると、総返済額は⼤きくなる。
変動型では毎⽉の返済額を⾒直す時期を、⾦利の変動に関わらず5年ごととしている。⾦利上昇が続くと、更新時に毎⽉の返済額が膨らみ家計を圧迫する可能性がある。仮にローン残⾼4000万〜5000万円で、⾦利が2%ほど上昇すれば、返済額は⽉に3万〜4万円増える計算に なる。変動型の低⾦利が魅⼒的に映るのは理解できる。住宅⾦融⽀援機構が⼿掛ける全期間固定型住宅ローン「フラット35」で最も多い⾦利は現在年1.8%台だ。年0.5%を下回る変動型とは開きがある。
ただフラット35の⾦利は⼗数年前に年3%台だった。現在の⽔準は歴史的に⾒れば⾼くはない。変動⾦利の上昇に備え、固定型への借り換えを検討してもよいのではないか。
家計運営では固定型で総返済額を確定させる利点は⼤きい。変動型は⾦利動向で⽀出が変わり、その都度家計を⾒直す必要がある。固定型はその⼼配がなく、余裕資⾦が明確になり、株式など値動きのある資産に回しやすい。
歴史を振り返るとバブル期など⾦利が⾼い時代は変動型よりも全期間固定や固定期間選択型が優勢だった。⽇銀の⾦融政策が変われば、変動型優勢の現状が変わっても不思議ではな い。
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変動型の利⽤が得策
現在新たに住宅ローンを借りる⼈の9割程度が変動⾦利型を利⽤しているが、適切な選択だ。変動⾦利が上がるのはかなり先で、上昇幅も限定的と考えられる。今後も変動型で借り続けるのが得策で、固定型への借り換えは賢明でない。
では変動⾦利が上がるのはいつか。それを考える際に知っておくべきなのは、住宅ローンは基準⾦利から優遇幅を引いた⾦利(適⽤⾦利)で貸すのが普通で、優遇幅は当初借⼊時の値が完済まで維持される点だ。⼀般的に、新規に借りる⼈の優遇幅は⽇銀のマイナス⾦利政策解除時に縮⼩しそうだが、基準⾦利⾃体はマイナス⾦利解除より先のゼロ⾦利政策終了時になってようやく上がるだろう。
新規に借りる⼈の適⽤⾦利は優遇幅縮⼩があるマイナス⾦利解除時に上がる可能性があるが、時期は2030年とかなり先と予想する。⼀⽅、既に借りている⼈の適⽤⾦利上昇は基準⾦
利⾃体が上がるゼロ⾦利解除時になるのが⼀般的とみられ、さらに遠い将来だ。
住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。
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