2023/12/9 18:00  ⽇本経済新聞   電⼦版

⼤和ハウス⼯業は2026年度までにホテルの客室分譲事業を始める。北海道や沖縄といったリゾート地などで⾼級ホテルを含めた物件を開発し、1部屋ごとにホテルの区分所有権を売り出す。購⼊者が⾃ら使っていない時に、インバウンド(訪⽇外国⼈)客を中⼼に部屋を貸し出すことで収⼊を得られる。訪⽇旅⾏が盛り上がるなか、投資の幅を広げたい富裕層やビジネスパーソンらの需要を取り込む。

開発するのは「ホテルコンドミニアム」と呼ばれる商品で、分譲マンションと同じように1部屋ごとに区分所有権を販売する。購⼊者は宿泊でき、使わない期間は部屋を外部の宿泊客に貸し出せる。予約の管理や清掃はホテルの運⽤会社が担うため、持ち家型の別荘やリゾート型の分譲マンションより管理の⼿間が少ない。

北海道と沖縄県で⼟地の選定を始めた。北海道ではオーストラリアや欧⽶、アジアの観光客が数多く訪れるニセコ町や倶知安町、観光の拠点となる札幌市内での開発を検討する。沖縄県では那覇市の繁華街「国際通り」付近などを想定している。温泉などの施設を備えた既存ホテルを買収することも検討する。

所有者が貸し出す場合の宿泊価格は1部屋1泊3万〜4万円を想定する。資産価値を⾼めるため、外資系も含めた著名ブランドホテルの誘致も視野に⼊れる。⼤和ハウスはこれまで、⼤阪府や京都府で⽶ヒルトンと連携してホテルを開発している。著名ブランドを冠した分譲ホテルを開発できれば、インバウンドの宿泊も期待できる。特に北海道は宿泊客の多くでインバウンド需要を⾒込む。

国内では⾸都圏を中⼼に分譲マンションの開発が進むが、新たな開発⽤地は限られてきている。収益は開発物件の量にも左右されるため、⼤和ハウスの24年3⽉期の分譲マンション事業の営業利益は前期⽐34%減の270億円となる⾒通し。収益を安定させるため、分譲マンションに続く新たな収益源の確保をめざしている。

分譲ホテルは欧⽶などでは不動産商品として浸透しているが、国内での供給数はまだ少ない。不動産サービス⼤⼿、シービーアールイー(CBRE、東京・千代⽥)の奥⼭貴雄ホテルアドバイザーは「区分所有権の販売で早期に資⾦回収できる。分譲マンションだけでは成⻑戦略が描きにくいデベロッパーによる開発が進む可能性は⼗分にある」と指摘する。

所有権の購⼊者は宿泊客への貸し出しで安定的な収益も⾒込める。投資環境も追い⾵だ。低⾦利が続いていることに加えて、投資に興味を持つ若年層も増えており、「従来の富裕層に加えて、投資信託や株式以外に投資先を探している若者にも購⼊が広がる可能性がある」(同)。

⽇本では東急不動産などが先⾏しているが、富裕層向けの新たな投資資産として需要が⾼まると⾒られ、森トラストもこのほど進出を決めている。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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