2023/11/6 5:00 ⽇本経済新聞  電⼦版

ここ数年、東京都区部のマンション価格が⾼騰しているという話題に注⽬が集まっていま す。住むための「実需」の物件だけでなく、投資⽤区分所有マンションも同様に価格が上昇してきました。しかし、2023年に⼊ってから慎重な姿勢を⾒せる投資家が増えてきた感があります。筆者のもとにも、そろそろ都内の投資⽤マンションを売却したい、売却すべきかどうかという相談が増えてきています。

価格は頭打ち、賃料は上昇

まずは、マンション価格と賃料⽔準の推移について⾒てみましょう。次のグラフは、公益財団法⼈東⽇本不動産流通機構が発表している東京23区内の中古マンション売買平均単価とマンション賃料平均単価のデータを使⽤し、2017年3⽉から23年9⽉までをグラフ化したものです。

中古マンション価格は17年3⽉以降、上昇傾向を⽰していますが、20年7⽉以降はより上昇傾向が強くなりました。19年ごろは、そろそろ都区部の中古マンション価格の上昇も限界だろうといわれていた時期でしたが、新型コロナウイルス禍の下で経済停滞を払拭するために⾏われたマネーストックの増加(さらなる⾦融緩和)が⼀段と不動産価格の上昇をもたらしたのではないかと筆者は考えています。そして23年に⼊ると価格上昇の勢いがやや落ちてきました。

⼀⽅、賃料をみると、17年から20年3⽉ころまではマンション価格と同様の上昇を⾒せていましたが、その後は上昇率が弱くなっています。そして、23年以降はふたたび上昇しています。賃料が今年になってから上昇したのは、賃料の変化は価格の変化より遅れて発⽣するという性質があるからではないかと思われます。

表⾯利回り、コロナ禍以降に下落

価格と賃料が分かっていますので、「賃料×12か⽉÷価格」で表⾯利回りが算出できます。これをグラフ化してみると⾯⽩いことが分かります。

17年3⽉から20年6⽉までは表⾯利回りはおおむね5%程度で横ばいでしたが、その後、⼀気に低下しています。物件価格の上昇が主な要因です。そして23年に⼊るとおおむね4%程度で横ばい化しています。そろそろ投資⽤マンションを売ろうかと考える⽅は、この利回り低下(価格上昇)局⾯がそろそろ終わり、物件の価格が下がり始めるのではないかと考えている可能性があります。

投資⽤マンションは⾦利に左右されやすい

このような表⾯利回りの状況に加え、投資家は⾦利動向にも注⽬しています。投資⽤マンションを取得するためのローンは、実需⽬的の住宅ローンと違って⾦利が⾼めですし、市場⾦利の動向に左右されやすい性質があります。表⾯利回りは年間賃料収⼊を使って計算していますが、実際に投資する場合は、賃料収⼊から賃貸運営コスト(管理費、修繕費、⼊居募集費、公租公課など)が差し引かれ、そのうえで、⾦利⽀払いと元本返済が発⽣するため、利ザヤは思ったほど⼤きくはなりません。

表⾯利回りが⾼く、ローン⾦利が低ければ、利ザヤは⼤きくなりますが、表⾯利回りが4%程度に下がってきた状況でローン⾦利が上昇すれば、投資のうまみが減ってしまい投資したいと考える⼈が減る、そして価格が下がるという予測をしている⽅が少しずつ増えているということなのでしょう。

⾦融緩和政策の動向にも注⽬

投資家⼼理が慎重姿勢になりつつあるのは、表⾯利回りが低下し、横ばい傾向になっていることに加え、⾦利上昇リスクで投資妙味が下がりつつあることが背景のようです。しかし、投資⽤マンション価格がこれ以上は上がらない、近いうちに値下がりするとは⾔い切れない⾯もあります。

19年ごろは「これ以上、マンション価格は上がらない。上限に到達している」といった意⾒が多かったのですが、コロナ下で市場のお⾦を潤沢にするという経済政策によって、誰もが予想しなかった「さらなる価格上昇」が実現したという事実がつい最近あったのです。投資をするということは、市場動向だけでなく、経済政策の動向にも⽬を光らせる必要があるということです。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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