2023/11/2 19:36  ⽇本経済新聞   電⼦版

東京都内のマンションに建物と居住者年齢の2つの「⽼い」が迫っている。都内の築40年以上のマンションの6割に30年以上の⻑期修繕計画がなく、居住者の⾼齢化率も⾼い。修繕をしなければ危険な状況に陥るほか、居住者⾼齢化による組合の担い⼿不⾜で管理不全のおそれもある。都は事態の改善のため専⾨家を派遣するなど対策を急ぐ。都住宅政策本部によると、2021年末時点で都内分譲マンションの累積着⼯⼾数は約194万⼾。管理⽅法を定める区分所有法が改正された1983年以前に建てられたマンションは23年3⽉末時点で都内に1万1459棟あり、このうち都の条例が義務づける管理状況の届け出をしたのは1万440棟だった。

届け出には⼾数や階数などのマンションの概要や、管理組合や⻑期修繕計画の有無などを記す必要がある。国⼟交通省のガイドラインで⻑期修繕計画は30年以上とされているが、届け出のあったマンションの6割にあたる約6300棟で30年以上の⻑期計画がなかった。

3割にあたる約2800棟は計画そのものがなかった。計画があるマンションも30年未満の計画だったり、期間を定めていなかったりした。管理状況を届け出た1万440棟のうち5.4%は修繕積⽴⾦がなく、管理組合がないマンションも5.0%あった。マンションは適切な管理と修繕を続けることで資産価値を維持できたり上げたりできる。修繕を続けるために時期や費⽤の⻑期的な計画を⽴て、⼊居者から修繕積⽴⾦を集める。⻑期修繕計画がないと必要な資⾦のめどが⽴てられない。重要な修繕ができなければ危険なうえ、マンションの価値が下がりかねない。

都は適切な管理をしてもらおうと対策に乗り出した。管理状況を届け出たマンションに対し、組合の求めなどに応じてマンション管理⼠を無料で派遣。管理不全の兆候がある場合は5回まで無料とする。管理⼠は⻑期修繕計画の作成や修繕積⽴⾦の設定に関する相談などに応じる。無届けのマンションには届け出を呼びかける。

住宅政策本部の⼭⼝真本部⻑は9⽉、都議会の答弁で「計画的な修繕により適正に管理を⾏っていく必要がある。課題の検証を進め、マンションの管理不全を抑制していく」と話した。

マンションの⻑期的な管理不全のリスクが⾼まるなか、同時に居住者の⽼いも懸念されている。国交省によると、22年末時点で築40年以上のマンションは全国で約126万⼾あり、10年後には約261万⼾、20年後には約445万⼾に増える⾒込みだ。

国交省による18年度のマンション総合調査によると、1979年以前に完成したマンションでは、世帯主が60歳以上の割合は8割弱にのぼる。2010年以降に建てられたマンションでは2割未満で、古いマンションほど居住者の⾼齢化が顕著だ。

⼀般社団法⼈東京都マンション管理⼠会の藤江俊之副理事⻑兼事務局⻑は「⾼齢化が進むと管理組合の担い⼿が減り、管理不全に陥りやすくなる」と話す。実際に同会には⾼齢の管理組合代表者から後継者不在についての相談が寄せられているという。管理不全のマンションを購⼊選択肢に⼊れる若い世代は多くはないはずだ。管理不全を放置すると建物と居住者の⽼いが連鎖して加速する懸念がある。負のスパイラルに陥る前に現状を正確に把握し、対策を急ぐ必要がある。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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