2023/11/7 5:00 ⽇本経済新聞  電⼦版

外資ホテル⼤⼿がラグジュアリーブランドの⽇本展開を拡⼤している。⽶ヒルトンは最上級の「ウォルドーフ・アストリア」を初開業。仏アコーも国内のホテル数を倍増する。⾼い収益が⾒込める⾼級ホテルは不動産オーナーにとって魅⼒的だ。旅⾏者も宿泊施設の多様化を求めている。

「2030年に訪⽇客6000万⼈という政府の数値⽬標はホテル業界への波及影響が⼤きく、⾼⽔準にある現在の料⾦相場が維持されていくだろう」。アコー⽇本法⼈のディーン・ダニエルズ代表取締役はこう話す。実際、各地で外資系ホテルが需要を取り込み、その勢いは衰えていない。

新型コロナウイルス禍明けの需要回復を外資系は⻁視眈々(たんたん)と狙ってきた。ホテル専⾨の⽶調査会社STRによると、国内ホテルの9⽉の平均客室単価は19年同⽉⽐で23.9%上昇と⼤きく戻している。

コロナ前に聞かれたインバウンドの不満は「富裕層が満⾜できる⾼価格帯の宿泊施設が少ない」こと。ヒルトンはそのニーズに対応する。⽇本に初上陸させるのは⽶⼤統領も宿泊する最⾼級ブランド「ウォルドーフ」だ。オリックス不動産と組み25年に⼤阪・梅⽥地区で、26年には三井不動産と東京・⽇本橋で開業する予定だ。

既存ホテルの「変⾝」も進む。仏アコーは⼤和リゾート(東京・千代⽥)が所有する23施設の運営を受託。来春までに⾼級ホテル「グランドメルキュール」などに転換する。ダニエルズ⽒は「⽇本はラグジュアリーホテル展開のカギとなる市場だ」と語る。

世界ではM&A(合併・買収)による合従連衡が激化している。買収の⽬的は⼿持ちの有⼒ブランドを増やすことだ。アコーは16年に「フェアモント」「ラッフルズ」などを運営する FRHIホールディングスを買収。増やした「カード」を使い25年度に⽇本でフェアモントを開業する。

外資系ホテルの開業ラッシュに拍⾞をかけているのが⾃治体だ。地域の観光需要を活性化させるため、⾃治体所有の遊休地などに⾼級施設を誘致する動きが⾒られる。外資が持つ幅広いブランドの選択肢は「ホテル選定の競争で有利に働く」(外資系幹部)という。

そのため、ブランド展開が不得⼿な国内ホテル企業はやや不利な⽴場にあるといえる。

⽬の肥えた旅⾏者のニーズも変化した。ホテル経営に詳しい⽴教⼤学の沢柳知彦特任教授は「かつては百貨店のような総合ホテルが好まれた。近ごろは個性が強く、テーマ性のある専⾨店型に⼈気が⾼まっている」と分析する。個性という点で外資系の展開は巧みだ。

2023年4⽉に開業したブルガリホテル東京。東京ミッドタウン⼋重洲の40〜45階に⼊居する世界約1億8200万⼈の会員数を誇る⽶マリオット・インターナショナルは、若い顧客の開拓を狙った「W」を⼤阪で21年に、今春には「ブルガリホテル」を都内に開業。8種の⾼級ブランドを使い分け、何度も訪⽇するリピーターの需要に応えている。

価格を抑えた「フェアフィールド・バイ・マリオット」も、積⽔ハウスと組んで各地の道の駅に隣接して展開する。91拠点、20ブランド(9⽉末時点)体制で幅広く需要を取り込む戦略だ。

なぜ⽇本は重要か。外資にとってアジア展開の試⾦⽯となるからだ。富裕層の旅⾏需要が伸びるベトナムやインドなどの主要都市に向け、⽇本で磨いたきめ細かいホスピタリティーで顧客満⾜を⼀段と向上させる。

「(同ブランドは)世界約120カ所に広がっており、今後はアジアの主要都市が有望  だ。他の⾼級ブランドのような統⼀感よりも、地域の個性を⽣かしたホテル運営を重視。料理など新体験で旅⾏者を誘引する。余暇はもちろん、ビジネス需要も⾼まっている」

「⽇本では8⽉末、5カ所⽬の施設として森トラストとフランチャイズチェーン⽅式で運営する『紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良』を開業した。さらなる拡⼤を考えている」

「マリオットは30種類以上もの多様なホテルブランドを展開する。様々な旅⾏者のニーズに対応できるのはもちろん、オーナーが持つ資産の特性に応じてブランドを提案できる利点がある。同じ都市に複数ブランドを展開できるため、市場の飽和を避けることも可能だ」

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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