2023/10/15 2:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

リバースモーゲージを住宅ローンの借り換えに使う⼈が増えている。⾦融機関の⼀部では借り換え利⽤が2割超まで増えた。リバースモーゲージは⾃宅を担保に融資を受けて毎⽉利息を払い、元本は死後、⾃宅売却などで返す。借り換えは⽬先の毎⽉の返済負担を軽くすることが⽬的だが、利息が⻑期的に家計を圧迫すれば、新たな⽼後破綻リスクとなる。

主要機関から聞き取って推計した累計融資額は2023年6⽉末に2000億円(すでに返済された分を含む)を超えた。16年ごろから融資の拡⼤が⽬⽴ち始め、約7年で倍増した。

⺠間と協⼒して展開する住宅⾦融⽀援機構のリバースモーゲージは直近の23年4〜6⽉の利⽤の22.3%が住宅ローンの借り換えに使われた。同機構とは別の仕組みで展開する会社でも借り換え利⽤は拡⼤傾向にある。

背景には⽼後資⾦への不安がある。リバースモーゲージは通常、毎⽉の返済は利息のみで、元利返済の住宅ローンに⽐べて表⾯的な負担は数分の1に軽減される例が多い。ただ、毎⽉返済で元本は減らないため、返済期間が⻑引けば住宅ローンより原則として利息総額は膨らむ。

総務省の家計調査では住宅・⼟地関連の負債(負債のある2⼈以上世帯の平均)は世帯主が50代の場合、22年で1067万円と6年連続で1000万円を超えた。60〜70代も600万円前後だ。今後も⾼齢期のローン負担は残る公算が⼤きい。

国⼟交通省の調べでは三⼤都市圏のマンションを初めて購⼊する平均年齢は上昇傾向で、22 年度は39.9歳だ。35年の住宅ローンを組むと、完済は70代半ばになる。借⼊⾦も増加基調にある。

⼤阪経済法科⼤学の⽶⼭秀隆教授は「⼿元の貯蓄を返済に使わず⽼後に温存するための借り換えなら⼀定の合理性はあるが、⽬先の負担軽減だけが⽬的の場合はリスクがある」とみる。

⽼朽化した⾃宅でも主に⼟地を担保に融資される場合がある。現在は男性も4⼈に1⼈、⼥性は2⼈に1⼈が90歳まで⽣きる時代。60代で利⽤してもその後30年程度、返済が続くこともある。変動型のタイプが多く、⾦利上昇リスクもある。

体調悪化などで⾃宅に住めなくなると、介護施設への⼊居資⾦の捻出なども考えなければならない。リバースモーゲージに借り換えた家でも売却できるが、希望額が得られるとは限らない。

不動産取引に詳しいコンドミニアム・アセットマネジメント(東京・千代⽥)の渕ノ上弘和代表は「借り換えた後、年数が経過して⽼朽化した住宅は、市場の評価が下がる可能性も念頭に置くべきだ」と話している。

国内でリバースモーゲージが始まったのは1980年代。総⼈⼝に占める65歳以上の割合は80 年は9.1%だったが、23年に29.1%となった。⾼齢者が増えるほど需要の裾野は広がる。⻑寿化の影響で⼦世代は⾃ら住宅を持ち、親の家の相続を必ずしも望まないケースが増えていることもさらなる拡⼤を促しそう。

⽶国では、主流である政府保証付きタイプだけで22年9⽉末の累計未払い残⾼が800億ドル(12兆円弱)を超える。⽶国では過去、利⽤者へのリスクの説明などが不⼗分な事例が社会的に問題視されたことがある。⽶⼭⽒は「⽼後資⾦調達の1つの選択肢だが、適切な使い⽅について知識の取得を促すことも並⾏して進める必要がある」と指摘する。融資を⼿掛ける⾦融機関だけでなく、ファイナンシャルプランナーなど第三者の⽴場からリスクを含めた情報発信ができる体制の整備が重要だ。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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