2024/2/10 2:00 ⽇本経済新聞  電⼦版

マンションやオフィスビルなどの不動産へ1万円から資⾦を投じられる「クラウドファンディング型」の投資が注⽬を集めている。投資期間が数カ⽉から1年程度と短く、年換算した利回りが8〜 10%程度と⾼い。⼤半の案件で募集⾦額を⼤幅に上回る応募がある。債券投資などに⽐べたリスクを認識することが必要だが、新しい短期の資産運⽤⼿段として広がる可能性がある。

ネット公開の物件に応募

クラウドファンディング型の不動産⼩⼝投資はインターネットで公開されている不動産物件の中から投資家が気に⼊った対象を⾒つけ、応募する仕組みだ。最低投資額は1万円で、応募が多い場合は抽選となる。

ファンド起案者は不特定多数の個⼈から集めた資⾦で不動産を購⼊する。そのうえで資産価値を⾼めて売却したり、賃貸物件として保有したりして、利益や家賃収⼊を投資者に配当として還元する。事業者は不動産特定共同事業法の第1号、2号免許登録をしており、信託受益権など「みなし有価証券」を販売できる第2種⾦融商品取引業の免許登録もしている。

⽮野経済研究所によると⽇本のクラウドファンディング市場の規模は2022年度に約2000億円だ。不動産型は14%程度と、伸びる余地が⼤きい。国内の不動産の時価評価額は約2600兆円とされ、そのうち証券化されたものは約2%と少ない。

クラウドファンディング型の⼩⼝投資を積極的に展開するのがウィーキャピタル(東京・港)だ。23年10⽉から稼働し、すでに27件の不動産を⼩⼝化している。

商品名はヤマワケエステートで、第1号案件となった新宿区のマンションは投資期間が1年、想定年利回り8%で募集し、3億7000万円の上限に対して6億7000万円の応募があった。

第2号の埼⽟県⼤宮のアパートは期間4カ⽉、想定年利回り8.1%で、1億2000万円の上限に2億 5000万円の応募があった。

期間が4カ⽉なので実際の利回りは2.7%になる。期間が短いので「早めに投資資⾦を回収でき、次の投資に回すケースが多い」と松⽥悠介CEOは話す。

ジャパン・プロパティーズ(東京・港)も23年6⽉からすでに8件を⼿掛けている。商品名は LEVECHY(レベチー)で第1号案件は豊島区のマンションだ。期間が1年、想定利回り10%で6億2000万円を募集したところ、17億円の応募があった。

3億円の枠に19億円の応募

第2号の港区のマンションは期間が1年で想定の年利回りを8%に設定し、3億円という枠に対して 19億円の応募があった。ジャパン・プロパティーズは不動産特定共同事業法の第3号、4号免許登録もしている。案件ごとに特別⽬的会社を設置し、万⼀の場合も投資家の資産を保全できる仕組みを取っている。

ジャパン・プロパティーズの⾼CEOは⼤型物件も⼩⼝化の対象になり得ると話す同社の⾼将司CEOは「この⼿法ならば⾦融機関からの借り⼊れも組み込めるので、⼤型の物件でも⼩⼝化の対象になり得る」と語る。

投資家に提供する年利回りは⾦融機関からの借⼊利息より⾼い。それでも不動産の売買では数カ⽉後に売却のめどがついているにもかかわらず急な短期間の融資が難しい場合や、融資までに時間がかかる場合もある。

それに対してクラウドファンディング型で⼩⼝資⾦を募集すれば「瞬時に資⾦が集まることも珍しくない」と松⽥CEOは⾔う。

事業者はビジネスのスピード感が上げられる。不動産の詳細はネットで開⽰されており、投資家は現地に⾜を運んで確認することも可能だ。1⼈あたり1回の平均投資⾦額は40万円程度で、最も多い年代は40歳代となっている。

ウィーキャピタルは今後、不動産以外でもクラウドファンディング型の⼩⼝化投資を展開する予定だ。飲⾷店などの店舗を開店したい⼈がクラウドファンドを⽴ち上げて⼩⼝資⾦を募集し、開業後に売り上げから配当を⽀払う案件などが考えられる。

このほかにアイドルグループやロックバンドなどがライブを企画してクラウドファンドで資⾦を集め、チケット収⼊やグッズの売り上げから配当を⽀払うなどの案件も想定できる。

リスク認識や対象の吟味を

新型の少額投資⾮課税制度(NISA)が1⽉から始まり、個⼈の資産運⽤への関⼼が⾼まっている。不動産型のクラウドファンディング投資は期間が短く、⾼い利回りが期待できるために⼈気を集めている。ただし市況の悪化に伴って売却が進まなかったり、想定通りの家賃収⼊がなく利回りが低下したりという事態もあり得る。

その結果、投資元本を割り込むリスクもある。そこに注意し、⾃分の⽬で投資対象を吟味する必要がある。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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