2023/10/19 7:45 (2023/10/20 12:00更新) ⽇本経済新聞 電⼦版

札幌都⼼部のマンション販売価格が⾼騰している。札幌駅前など都⼼部の平均坪単価は直近3 年間で約4割上昇し、簡単には⼿が届かない⽔準となっている。値上がりを期待した投資などを⽬的にした購⼊が活発で、都⼼部は「住まないマンション」が⽬⽴ってきた。

不動産経済研究所によると、札幌市の新築マンション価格(2022年)は平均で5022万円。名古屋市(3587万円)の4割⾼、福岡市(4228万円)の2割⾼の⽔準だ。10年前⽐では7割⾼ となり、名古屋市(4%⾼)や福岡市(5割⾼)を⼤きく上回るペースで販売価格は上がっている。

東急不動産が1⽉に完成した地上29階建ての「ブランズタワー札幌⼤通公園」は、最寄りの地下鉄⻄11丁⽬駅まで徒歩3分の⽴地で繁華街のすすきのも近い。価格は最⾼1億7500万円で中⼼は未供給も含め5300万円台になる⾒込みだ。

⼤和ハウス⼯業などが札幌駅北⼝に建設中の地上48階建ての「ONE札幌ステーションタワー」は、完成前にも関わらず完売した。地下鉄さっぽろ駅直結のアクセスの良さが特徴で最⾼販売価格は5億円に及ぶ。2割強は1億円以上の住⼾だ。購⼊者は道内が約6割、⾸都圏を中⼼とした道外が約4割を占める。「全体の6割は投資⽬的やセカンドハウス⽤の購⼊」(同社)だ。

マンション開発は都⼼部で相次いでいる。⼤京や⼤和ハウスなどは25年の完成を⽬指し北海道新幹線の札幌駅ホーム予定地の近くに、地上30階建てマンションを建設する。不動産開発のタカラレーベン(東京・千代⽥)も地下鉄⼤通駅から2駅先の⻄18丁⽬駅徒歩1分のマンションを25年2⽉をめどに完成させる。

リクルートの調査では札幌駅前など都⼼部の平均坪単価は300万円に迫り、3年前⽐で約4割⾼くなった。東急不動産住宅事業ユニットの尾崎弘和⽒は「ここまで⾼騰すると⼀般のファミリー需要をとるのは厳しい。投資やセカンドマンションとして買う⼈が多い」と指摘する。「購⼊層は年収1000万円が最低ライン。道外の顧客が必然的に増える」(⼤⼿不動産)

札幌市の世帯年収は全国の主要都市で低⽔準にあるなかで、マンション価格は⼤きく上昇し実需とは乖離(かいり)が⽣じつつある。「⾜元で価格がバブルになっている。実需と離れてきた」(不動産会社)との⾒⽅も聞かれる。

住宅⾦融⽀援機構の「2022年度フラット35利⽤者調査」では、マンション購⼊にかかった所要資⾦は世帯年収の約7倍だった。全国家計構造調査(19年)によると札幌市の世帯年収は453万円。全国の主要21⼤都市の中で20位だった。全国の世帯年収(558万円)を約100万 円下回り、⾸位の千葉市(662万円)とは約200万円の差がある。

札幌の不動産価格は北海道新幹線の延伸を控えて上昇してきた。そこに建設資材の⾼騰が重なる。建設物価調査会(東京・中央)が発表した9⽉の札幌の建築費指数(速報値、2015年=100)は、マンション(鉄筋コンクリート造)で133.4まで上がった。⼤規模マンションは着⼯から完成まで数年かかるため、資材⾼の影響は「今後販売するマンションの価格に上乗せされる可能性がある」(東急不動産)。⼤和ハウスの北海道⽀店マンション営業所の藤岡弘樹営業課⻑は「資材や⼟地が⾼騰し、価格を転嫁しやすい都⼼部などで開発を進める傾向が強まった」と指摘する。

中央区の新規マンションの供給⽐率は⾜元で3割強。都⼼部の開発が進むと25年には5割まで⾼まる可能性がある。ただ今後、価格上昇が⼀服するようだと道外からのマンション購⼊も鈍りかねない。再開発は需要と供給の動向を探りながら進むことになる。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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