2023/8/10 2:00   ⽇本経済新聞   電⼦版

ミレニアル世代の間で空き家投資が⼈気だ。空き家を安く購⼊し、改装して賃貸物件として貸し出す。借り主には住まい探しに悩みを抱える在留外国⼈も多いという。⽼後の備えだけでなく、社会課題の解決につながるところに、魅⼒を感じている。

名古屋市に住む吉岡良太さん(34)は2020年、岐⾩県にある築40年の空き家を100万円で購⼊した。最寄りの駅から徒歩30分ほど、バス停から徒歩10分強の⽊造2階建て。傷みが少なかったため⾃分で改修と清掃をして⽉約5万円の家賃で借り主を募集した。

ほどなくして地元で働くブラジル⼈の男性から問い合わせがあった。「なかなか住まいが⾒つからなかったので助かりました。⼦どもが広くてきれいだと喜んでいる」と⾔われた⽇のことを、今も忘れない。⽉5万円だと年間の家賃収⼊は60万円。今は複数棟を所有する。いずれも空き家だった物件で、改装し賃貸物件として運営している。

もともと⼤家は⾼齢者や地主がなるものだと思っていた。そんな吉岡さんが空き家に興味を持ったのはコロナ禍だった。教育関係の仕事をしていたが、休校などで思うように仕事ができなくなった。将来不安と仕事へのやりがい。新たな仕事を探すなかで不動産の勉強会に参加した。シェアハウスを巡る「かぼちゃの⾺⾞事件」が起きて以降、銀⾏からお⾦がなかなか借りられないと知った。空き家なら現⾦の範囲で投資できる。なにより、全国に約849万⼾(18年時点)ある空き家の再⽣という社会課題の解決の⼀助にもなるところに魅⼒を感じた。

実際に貸し出すと、借り主のなかには在留外国⼈が少なくないことが分かった。⽂化や⽣活習慣の違いから⽣じる近隣住⺠とのトラブルを懸念し、外国⼈を理由に⼊居を断るところもあるからだ。空き家投資が住宅弱者の⽀援にもつながればと考える。吉岡さんは⼀般社団法⼈「全国⼤家の会」の代表理事に就任し、⾃⾝の経験を踏まえ仲間と、⼤家に興味のある⼈が勉強する機会を提供する。⽼後資⾦2000万円問題がとりざたされて以降「空き家への関⼼は⾼く、⾃分のように改修し貸し出す同世代が増えている」。会社勤めの⽅が多く⼥性も少なくない。

もちろんシロアリ被害が発覚したり、⼊居者が⽣活してから住居の不具合が⽣じたり、空き家ならではの難しさやリスクは多分にある。⼀⽅で古⺠家を再⽣したカフェや宿泊施設な ど、空き家の話題がメディアでよく取り上げられ、空き家の負のイメージが和らいできたことが⼤きい。

お下がり服や古着、あるいはリユース家電など、今あるモノを修理しながら⻑く使うという意識が浸透してきた。そうした消費の変化のなかで、住まいに関してはなお新築信仰が根強い。ミレニアル世代が空き家問題の傍観者ではなく主体的にかかわりを持ち始めたのを機 に、住まいも「古き良き資源を⻑く⼤切に」という意識へ変わるかもしれない。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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