2023/9/4 5:00  ⽇本経済新聞   電⼦版

終活と聞くと葬儀や墓の準備を思い浮かべる⼈は多いが、実は最も⼤変なのは親が住み続けた家の中にある荷物の整理や空き家になった家⾃体の⽚付けだという。近年、こうした作業は「家じまい」などと呼ばれ、注⽬が⾼まっている。重要なのは、親は家族の負担を考えて⽣前整理で荷物を減らしておくこと。そして家を引き継いだ⼦らはどうするか早めに決め、利⽤したり処分したりすることだ。

「家の中の⽚付けは軽く考えない⽅がよい。2年や3年では終わらないケースもよくある」と話すのは遺品整理や⽣前整理を⼿掛けるリリーフ(兵庫県⻄宮市)の⾚沢知宣社⻑。親の死後、⼦ら家族の⼿に負えず、空き家に放置されることも珍しくない。

SBIいきいき少額短期保険(東京・港)が実施したアンケートでは終活で⼼配なこと、気になっていることのトップは「物の整理、⽚付け」だった。親が⻑く住んだ家はものをため込んでいるケースが多い。家じまいの⼀環として、室内を⽚付けて住みやすくする「⽣前整理」をする⼈が増えている。

⽣前整理は家族のためと考える⼈は多いが、実は暮らす本⼈のためでもある。家にものがあふれていると、つまずいて転倒するリスクが⾼まるからだ。東京消防庁の救急搬送データ(21年)によると、65歳以上の事故の発⽣場所は「住宅等居住場所」、つまり住み慣れた家が3分の2を占めた。事故の種類は「ころぶ」が最も多く、その4割が⼊院を要する重症だった。

地震でものが落ちたり、倒れたりしてケガをすることもある。実家の⽚づけ講座や掃除サービスを提供する実家⽚づけ整理協会代表理事の渡部亜⽮さんは「防災上のメリットもあり、寿命が延びる」と⾔う。将来の介護もテーマだ。在宅で介護をするなら介護⽤ベッドなどのスペースが必要になる。ケアマネジャーや介護⼠など出⼊りする⼈も増える。荷物を減らせば在宅介護も進めやすくなる。

親が亡くなった後にまとめて⽚付ければよいと考える⼈もいる。ただ⼿間がかかるし、精神的につらい作業になることもある。費⽤も残された家族が全部負う。「親が元気なうちにするのが経済的にも体⼒的にも精神的にもよい。健康寿命(男性72.68歳、⼥性75.38歳)までにやっておきたい」(渡部さん)

作業ではどれを捨ててどれを捨てないか、すぐに決められないこともある。そんなときのために⼀時的に保管する箱を⽤意するとよい。保管後に使わなければ処分する。⼤事なのは⽚付けを⼦ら家族に伝え、できれば⼀緒に取り組むことだ。その際、⼦らは家の権利関係の書類など重要品の保管場所を確認したい。必要なときに⾒つからないと困るし、相続の備えにもなる。

⽚付けは専⾨の業者に頼むこともできる。費⽤は業者によって異なるが、前述のリリーフでは1LDKで8万8000円から、2LDKで16万5000円からが⽬安となる。「⽣前整理は10万円台、遺品整理は20万円台が多い」と⾚沢社⻑は話す。複数から⾒積もりをとって⽐較し、信頼できる業者を選びたい。

家じまいは親の死後など家族が家本体の処分をすることもいう。そこに住まないなら誰かに貸したいと考える⼈は多い。ただ⼤都市圏はともかく、地⽅だと借り⼿はなかなか⾒つからない。物置代わりに使う⼿もあるが、維持費と毎年の固定資産税がかかる。

使う予定がなければ売った⽅がよいとの指摘もある。その際は更地の⽅が⾼く売れる傾向がある。すぐに家を取り壊すと固定資産税が余分にかかるので買い⼿が現れた後で解体する。併せて家の中のものも⼀通り処分する必要がある。こうした⼿間や費⽤がかかることも知っておきたい。

実際には⾸都圏で交通の便がよいといった⼀部を除き、売却は難しいとされる。空き家増加の⼀因となっており、18年10⽉時点の住宅・⼟地統計調査では国内の住宅総数の13.6%を占めた。需要がありそうなら、コストをかけてでも引き渡せるようにしておきたい。「多少損が出ても、それを受け⼊れるのが空き家を処分するポイント」と空家・空地管理センター代表理事の上⽥真⼀さんは指摘する。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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