2023/10/17 5:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

分譲マンションの区分所有者の⾼齢化や単⾝化が進んでいるうえ、近隣コミュニティーも希薄化しており、マンション住⺠が孤独死するリスクが⽇増しに⾼まっています。管理組合が「第⼀発⾒者」となり、対応にあたるケースは今後増えてくると思われます。管理費などの滞納があった場合は回収する必要もあります。

しばらく姿を⾒掛けない住⺠がいる場合、まずはインターホンを鳴らすなどして、早めに安否を確認するのがよいでしょう。反応がなければ郵便物の滞留や異臭、⾍の発⽣などがないかを確認し、孤独死が疑われる場合には直ちに警察に連絡を⼊れましょう。

警察が⽴ち⼊って孤独死が判明した場合は、すぐに⼊居者名簿を閲覧して親族などに連絡を取りましょう。すぐに相続⼈と連絡がつき、その⼈が相続放棄しない場合には、その⼈に部屋の清掃や遺品の整理、滞納管理費の⽀払いなどを求めれば事⾜ります。相続⼈が誰か明らかでない場合には、弁護⼠に依頼するなどして、故⼈の出⽣から死亡までの⼾籍を調査し、相続⼈を探さなければなりません。⼿間も時間もかかるため、いざというときに連絡が付けられるよう、⽇ごろから名簿の緊急連絡先はこまめに更新してもらうようにするのがよいでしょう。

相続⼈が相続放棄した場合には、故⼈の代わりに責任を果たすよう求めることはできません。改正前の⺠法940条は相続放棄者に対し故⼈の財産を⼀定期間管理する義務を課していましたが、現在は相続財産を現に占有していた者を除き、この義務が免除されています。

全ての相続⼈が相続放棄を選択した場合や、そもそも故⼈に相続⼈がいないことが判明した場合には、故⼈の代わりに責任を果たすよう誰に対しても求めることができなくなってしまいます。そうした時は、裁判所に対して相続財産清算⼈の選任を申し⽴てる必要がありま す。

⼀般的には、地域の弁護⼠や司法書⼠などが選任されることが多いようです。無事に選任が済んだ後は、管理組合としてこの相続財産清算⼈に対し、滞納管理費の⽀払いなどを求めることができます。

相続財産清算⼈は、故⼈のマンションの区分所有権を売却するなどし、故⼈の債務を清算したうえで残⾦があれば国庫に納めるのが⼀般的です。故⼈のマンションの新たな区分所有者は、この過程で決まることになります。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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