2023/10/18 5:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

「⼈気エリアの物件は募集と同時に問い合わせが殺到する」。不動産仲介⼤⼿、東急リバブルの渋⾕センター(東京・渋⾕)のオフィスでは、投資物件を照会する顧客からの電話対応に追われる営業社員の声が絶え間なく響き渡る。

渋⾕センターでは2023年1〜9⽉の不動産売買の仲介収⼊で、企業や投資家が投資⽬的で購⼊する「事業・投資⽤」が前年同期⽐で約2割増加した。植⽊寛・渋⾕センター⻑は「超都⼼に限ると物件購⼊の4割程度が投資⽬的という印象だ」と話す。総資産数⼗億円もある企業経営者や創業者といった「スーパー富裕層」が好⽴地のマンションをこぞって買うという。

東京都⼼部の新築マンション価格が上昇の⼀途をたどっている。不動産経済研究所による と、東京23区の新築マンション価格は1〜6⽉平均で1億2962万円と1973年の調査開始以来初めて1億円の⼤台を突破した。13年同期と⽐べて2.3倍の⽔準だ。

価格上昇のけん引役の⼀つが、マンション投資家だ。「都⼼の⼀等地では数年前に買った物件の資産価格が2〜3倍になっているケースもある」(不動産関係者)。価格上昇が続くなか投資家がマンションで得た収益をまた別のマンションに投資する循環が⽣まれている。

三井不動産リアルティが4〜6⽉に仲介した都⼼の⾼額マンション取引は成約件数が前年同期に⽐べて約3割増えた。⿇布・⾚坂・六本⽊エリアは平均坪単価が1056万円と2006年の集計開始以降で最⾼値を更新した。

海外富裕層も⽇本への投資を増やしている。不動産サービス⼤⼿のジョーンズラングラサール(JLL)によると、1〜6⽉の海外投資家による⽇本の不動産の購⼊額は、前年同期に⽐べ1.4倍の5130億円まで膨らんだ。このうち賃貸マンションは1割強を占めた。「円安により以前より割安に不動産を購⼊できることも海外投資家にとって魅⼒的だ」(JLLの⾕⼝学⽒)

こうした投資家需要に加え、資材や⼈件費⾼騰などに伴う建設コストの上昇で都内のマンション価格は下がる気配がない。「実需」⽬的でも購⼊できるのは、富裕層や共働きで世帯収⼊が⾼い「パワーカップル」など⼀部にとどまる。

「賃貸マンションの賃料も上昇するならばと購⼊を決⼼した」。都内の専⾨商社に勤める男性(35)は今年5⽉、婚約者の⼥性(30)と東京都品川区のタワーマンションを1億1000万円で購⼊した。間取りは2LDKで広さは60平⽅メートル。2⼈は世帯年収が2000万円を超える「パワーカップル」だ。

ニッセイ基礎研究所によると、夫婦ともに年収700万円以上のパワーカップルは22年に37万世帯と5年前に⽐べて約4割増えた。パワーカップルの7割超が⼾建てやマンションなどの持ち家に居住している。

価格上昇でマンションの供給⼾数は減っているが、⾼価格でも買い⼿がつくためマンション各社の収益は堅調だ。営業施策も⾼所得者向けに⼒が⼊る。

東急不動産は9⽉末、東京・表参道に都⼼の⾼額マンションを対象にした販売所を開設した。平均価格が2億円を超える「ブランズ⾃由が丘」(東京・世⽥⾕)をはじめ、23年度内に都内で4物件を扱う。外資企業のワーカーなど⾼所得者向けにデジタル空間を使った説明を売りにしており、すでに来場者から契約の申し込みが集まっているという。
野村不動産は品川区上⼤崎で最⾼価格が3億2000万円を超える⾼額マンションを発売中だ。同社は⻄⿇布など再開発予定のビルの⾼層階にも住宅機能を設ける。野村不動産ホールディングスの新井聡社⻑は「都⼼は供給が限られるなかで消費者の購⼊意欲が底堅く、潜在需要がまだまだ⾒込める市場だ」と⼒を込める。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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