マンション1億円迫る東京23区昨年度、富裕層需要強く

2023/4/19付  ⽇本経済新聞  朝刊

新築マンションの価格上昇が⽌まらない。不動産経済研究所(東京・新宿)が18⽇発表した2022年度の平均価格は、東京23区で21年度から17.2%上昇し、9899万円と、年度として 遡れる1990年度以降で過去最⾼を更新した。低⾦利で富裕層を中⼼に需要は強く、⽤地取得費などの上昇分を価格に反映しやすい状況が続く。中間層にとっては⼿の届きにくい価格帯に突⼊している。

⾸都圏(東京、神奈川、埼⽟、千葉)の平均価格は8.6%上昇し、6907万円だった。価格が

⾼くなる⼀⽅、発売⼾数は減少しており、⾸都圏は前年度⽐12.9%減の2万8632⼾と、2年ぶりに3万⼾を下回った。最も発売が多かった2000年度の3分の1程度の⽔準だ。23区も18.8%減の1万692⼾だった。

都⼼部では⾼額物件の供給が続いている。このほど分譲を開始した「三⽥ガーデンヒルズ」

(東京・港)は最低価格が2億3000万円台からの⾼額・⼤型物件だが、売れ⾏きも「予想を上回り、多くの反響があった」(三井不動産)という。

同物件が寄与し、不動産経済研究所が発表した3⽉単⽉の新築マンション価格は東京23区で前年同⽉⽐2.7倍の2億1750万円、⾸都圏は同2.2倍の1億4360万円と急上昇。それぞれ初めて2億円、1億円の⼤台を超えた。

同マンションの影響を除いても都⼼部のマンションの価格上昇傾向は続いており、販売も好調だ。「医者や経営者、上場企業に勤める夫婦世帯など世帯年収が2000万円以上ある⼈たちがメインの購⼊層になっている」(リクルートのSUUMO新築マンション編集⻑の柿崎隆

⽒)。3⽉に分譲を始めた野村不動産の「プラウドタワー平井」(東京・江⼾川)も都⼼部から外れているが、中⼼価格帯が8700万円と、都内の新築物件は中間層の⼿が届きにくい価格帯になっている。

マンション価格が⾼騰しているのは供給コストが上昇しているからだ。「⽤地取得コストや建築価格、仕⼊れの難しさによる今後の供給不⾜などに加え、⼀部でアジア圏を中⼼とした富裕層のマネーの流⼊も影響しているようだ」(ケネディクスの佐藤啓介執⾏役員経営戦略部⻑)

マンション価格が⾼騰しても富裕層の需要があることもあり、デベロッパー各社の経営環境はよく、値下げして売り急ぐ必要がない。不動産助⾔会社トータルブレインの杉原禎之副社

⻑は「⾸都圏の⼤型物件は00年代前半は1年以内だった平均完売⽇数が⾜元では2年以上に延びている」と説明。「好⽴地にある⾼額物件を⼀度にまとめて売らず、期間を分けて売り切ることで⻑期で安定した収益の確保につなげている」と指摘する。

経済調査会によると東京都の3⽉の建設資材価格指数(建築)は157.1(15年度=100)で、 2年前から約4割上昇。資材価格の⾼騰が販売価格に本格的に転嫁されるのはこれからとさ れ、東京カンテイの⾼橋雅之主任研究員は「23年度もマンション価格は1割ほどあがるのではないか」と当⾯はこの流れが続くと予測する。

郊外では割安な⼾建てに客層が流れてしまい、売れ残りが⽣じる懸念も出てきた。「相場が6000万円程度にもかかわらず70平⽅メートルで8000万〜1億円と強気で売り出した結果、買い⼿がつかず苦戦するケースがある」(⾼橋⽒)

中古マンションにも新築を買うのを断念した層が流れている。ただ、東⽇本不動産流通機構

(東⽇本レインズ)によると、東京都区部の中古マンションの1平⽅メートルあたりの成約価格は3⽉で前年同⽉より3.7%⾼い100万6800円まで上昇。3⽉まで成約件数は2カ⽉連続前 年同⽉を上回ってはいるものの、価格上昇に伴って在庫も増えている。

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