デジタル証券化の背景

近年、日本では不動産のデジタル証券化が急速に進展しています。不動産デジタル証券(Security Tokens, ST)は、ブロックチェーン技術を活用して不動産の所有権を小口化し、投資家に販売する仕組みです。2020年の改正金融商品取引法により、これが金融商品として認められたことで、不動産市場に新たな風が吹き込まれました。

三井物産の大規模リゾートホテル計画

三井物産の子会社、三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)は、年度内にも沖縄の大規模リゾートホテルを数百億円から1000億円規模で取得し、これをデジタル証券化する計画を発表しました。MDMはこれまでにもインバウンド向けのホテルや賃貸住宅を証券化し、投資家からの高い需要を得ています。現在、発行しているSTは650億円程度で、5年以内に3000億円規模を目指しています。

ケネディクスと他社の取り組み

不動産運用大手のケネディクスは、SMBC信託銀行や野村証券と共同で首都圏の戸建て住宅約500戸をまとめたSTを発行しました。ケネディクスの不動産ST発行額は国内シェアの約半分を占めており、温泉旅館や物流施設など多様な物件を取り扱っています。これにより、投資家に幅広い選択肢を提供し、多様なニーズに応えています。

投資会社のいちごも年2〜3件のペースでSTO(セキュリティートークン・オファリング)を計画しており、高稼働が見込める都心部の賃貸物件を複数まとめて運用するSTを発行する予定です。

市場規模と成長予測

国内の不動産ST市場は急速に拡大しており、2023年末時点で発行額は1225億円に達し、21年末から約40倍に成長しました。1口あたりの投資額は10万〜100万円程度で、分配金の利回りは3〜5%が一般的です。市場全体で2023年から30年までに2.5兆円の不動産がST化されると予測されています。

投資家への影響とリスク

不動産デジタル証券は、REIT(不動産投資信託)に代わる新たな投資手法として注目されています。REITが市場で売買されるため値動きが大きいのに対し、STは不動産の鑑定評価額に基づいて価格が算出されるため、値動きが小さく安定している点が特徴です。KPMG FASの加藤淳哉マネージングディレクターは、不動産STが5〜10年後には主流の投資手法になる可能性があると予測しています。

しかし、普及に向けた課題も残されています。SBIグループや三井住友フィナンシャルグループが出資する大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)は2023年に私設取引システムで不動産STの売買を開始しましたが、対象は一部に限られており流動性が低い状況です。不動産STの発行業者は、投資家に対してリスクとリターンを明確に説明する責任があります。

まとめ

不動産デジタル証券は、投資家にとって新たな投資機会を提供するだけでなく、不動産市場全体の活性化にも寄与しています。投資マネーの流入が進む中で、市場の整備と透明性の確保が重要です。不動産投資に興味がある方は、デジタル証券化の動向を注視し、新たな投資手法としての可能性を探るべきでしょう。

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