「相続が必ずしも資産格差を広げているわけではない」
「相続は格差を拡大させる」──このフレーズ、ニュースやSNSでもよく耳にしますよね。
でも、本当にそうなのでしょうか?
実は最新の研究では、直感に反して「相続が必ずしも資産格差を広げているわけではない」という結果が出てきています。
今回は、法政大学・濱秋准教授の研究(2025年4月1日 日経新聞)をもとに、相続・贈与が資産格差に与える影響、そして富裕層がとるべき“次世代への資産設計戦略”について掘り下げていきます。

「NWX」と「WT」──資産形成の2つのルート
まず基本となる考え方がこちら:
- NWX:自力で蓄積した純資産(Net Worth Excluding Transfer)
- WT:相続・贈与による資産(Wealth Transfer)
今回の研究では、この2つの指標の関係性が分析されました。
「NWXが高い人は、WTも多いだろう」と思いがちですが、実際のアンケート調査ではむしろWTが少ないという傾向が明らかに。
つまり、自力で資産を築いた人ほど、相続・贈与で得た資産は少ないということ。
その理由は?──教育投資と長寿という“見えない移転”
この意外な結果の背景には、主に2つの理由があります。
① 教育投資という“先行型相続”
裕福な家庭では、現金を直接渡す代わりに教育への投資を重視する傾向があります。
- 私立中高一貫校
- 海外留学
- ピアノや英語などの習い事
- キャリアにつながる人的ネットワーク
これらの“見えない資産移転”が、将来の高収入や安定したキャリアにつながり、結果としてNWXの増加に寄与しているのです。
ただし教育投資にはお金がかかります。その分、親の資産は目減りし、WT(相続・贈与)として渡せる資産は少なくなるという構図です。

② 裕福な親は“長生き”する
もうひとつの要因が健康と寿命です。
高所得層ほど医療や健康にお金をかける傾向が強く、結果として親世代が長生きする傾向があります。
すると、調査時点で「相続を受けていない」子どもたちは、WTがゼロの状態で集計されることになります。
実際に相続が発生する時期が遅れるため、WTが統計上小さく出るという現象が起きているわけです。
教育投資のインパクトは“相続額以上”
研究チームが、学歴ごとにWTとNWXの関係を再分析したところ、
「学歴で調整すると、NWXとWTはむしろ正の相関になる(=裕福な人ほど相続も多い)」という結果に。
ただしここで重要なのが、1億円のNWXの差に対して、WTの差はたったの350万円程度だったという点です。
つまり相続や贈与の直接的な効果は、思ったよりも限定的で、
それ以上に教育投資や生涯年収に影響を与える要因の方が、資産形成には大きいという事実が浮かび上がってきます。
富裕層が考えるべき「見えない相続」とは?
これまでの議論から見えてくるのは、「相続=死後の資産移転」という考え方が、もはや時代遅れになりつつあるということ。
今や、**生前からの教育・体験・価値観の継承こそが“相続の本質”**です。
私たち富裕層がとるべき戦略として、以下の3点が重要になってきます。
1. 教育投資は“戦略的”に行う
たとえば:
- 学歴だけでなく「起業家マインド」を育む教育
- 海外の金融リテラシー講座やインターン
- 不動産経営の体験(家賃管理、修繕手配など)
“知識”ではなく“体験”の機会を与えることで、相続後の資産運用能力に大きな差が出てきます。
2. 不動産という“可視化された資産”を活用する
現金や株式よりも、不動産は“責任感”や“オーナー意識”を育みやすい資産。
たとえば…
- 千代田区の区分マンションを子どもに1戸ずつ所有させる
- 法人化して子どもを役員にし、決算書を見せる
- 管理会社とのやりとりを一緒に経験させる
といった取り組みが、次世代における資産運用の実践知になります。
3. 金融資産だけでなく“価値観”を遺す
最も重要なのは、資産の背景にある価値観や哲学を伝えることです。
- なぜこの不動産を買ったのか?
- どんなリスクを避け、どんな未来を期待したのか?
- 資産は「使う」ものなのか「守る」ものなのか?
こうした問いかけが、ただのお金を**“意志ある資産”**に変えてくれます。
まとめ|“見えない相続”にこそ、価値がある
相続は確かに資産を移転します。
でもそれ以上に、生き方・考え方・使い方といった“見えない財産”を次世代へどう受け渡すかが、これからの資産設計に求められる視点です。
教育投資も、不動産も、法人活用も──
すべては「次世代が“自分の意思で資産を使える人間”になる」ための準備。
いまこそ、“相続をデザインする”という発想が求められています。

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