2023/10/23 5:00  ⽇本経済新聞  電⼦版

家を探すときはまずウェブサイトで物件を検索し、気に⼊った物件があれば不動産会社に問い合わせて⾒学するのが⼀般的です。⼀⾒、簡単そうな物件探しですが、注意すべき点がいくつかあります。今回は、不動産広告の注意点と物件⾒学に関する注意点についてお話します。

「割安」にみえる広告の裏事情

ウェブサイトでの物件検索で注意したいことの⼀つに「オトリ広告」があります。オトリ広告とは、売るつもりのない物件、すでに売却済みの物件、実際にありもしない物件などをサイトに掲載するなどして、お客を集めることを⽬的とした広告を⾔います。

これは、広告につられて不動産会社に問い合わせしたお客に「この物件は最近売れてしまいましたので、別のよい物件をご紹介しますよ」などと⾔ってお客との接点をつくっていこうという狙いです。オトリ広告は禁⽌されているのですが、全くないというわけではないのです。オトリ広告でお客を釣るような不動産会社は、強引なセールスを⾏うなど、必ずしも質がよいとは⾔えない可能性が⾼いため、極⼒接点を持たないほうがよいでしょう。

オトリ広告なので、物件価格は割安にみえるものが多いようです。ただ、よく考えてみましょう。仮に、特段の理由がないのに相場より割安な物件があるとすれば、その物件の存在を最初に知ることができる不動産会社が⾃分で買い取って、市場価格で転売すれば確実にもうかりますので、市場に流通する可能性はまずありません。ですから、市場には本来、割安物件、格安物件は存在しないのです。明らかに安いと思われる物件は、疑ってかかったほうがよいでしょう。

物件の⾒学で⾒落とせない3つのポイント

気に⼊った物件に出会ったら、いよいよ現地の⾒学です。物件⾒学というと、建物の室内や設備、建物そのものに不具合がないかどうかをチェックすることがメインになりがちです。もちろん建物の状態を確認することはとても⼤切ですが、これ以外にも必ず確認していただきたい3つのポイントがあります。

1つ⽬は、公共交通機関を使って現地に⾏くこと。複数の物件を⾒学する場合、不動産業者の⼿配した⾃動⾞に乗って物件を巡ることが多いのですが、この⽅法だとその物件が⽴地している周辺環境を把握することができないのです。最寄り駅から物件までの街並みが確認できないと、交通が激しく危ない場所、⼈気がなくて夜は危なそうな場所などのチェックができません。また、実際に歩いてみると、アップダウンがあったり、信号待ちが思った以上に⻑いなどといった広告ではわからない実情が⾒えてくることもあります。あるいは「ひったくりに注意」などといった通⾏⼈に注意を喚起する看板がある場合、そういった事件が発⽣した通りである可能性もあります。こうした細かな点は、⾃分の⾜で歩かないと⾒えてこないものです。

2つ⽬は、2回以上、現地へ⾏くこと。実際に複数回、物件周辺を巡ってみたという⽅は多くないかもしれませんが、そこで暮らすことを考えるなら、平⽇と休⽇、時間帯によって、その街がどのように姿を変えるのかを確認しておいたほうがよいでしょう。例えば、夜の帰宅時の道のりが不安なら、夜に最寄り駅から物件まで歩いてみましょう。お⼦様の通学路が気になるのであれば、平⽇の朝と晩、実際に歩いてみましょう。物件の近所に保育園がある、道場があるなどの場合、⼀定の時間帯は⾳が気になるかもしれませんから、実際に聞こえる時間帯に⾏ってみるのも⼀案です。

3つ⽬は「現場取材」も有効であること。気になる物件の近所に暮らしている⽅に声をかけてみるのはとても有効です。「今度、このかいわいに引っ越したいと考えているのですが、どんな街ですか︖」とストレートに聞いてみると、きちんと答えてくださる⽅は多いものです。地元商店街でちょっと買い物したついでに街の様⼦を聞くというのは筆者がよく使う⽅法です。また、スーパーの⾷材売り場を巡ると、商品の種類や質が地域によって異なるた め、そのエリアに暮らす⽅々の暮らしぶりが⾒えてくることもあります。もちろん、悪い点だけでなく、おいしいと評判のお店などの情報も⼿に⼊ることがあります。

暑さがようやく収まり、歩きやすい気候になりました。物件探しを始める⽅もいらっしゃると思います。広告に注意しながら、⾃分の⾜で現地を⾒て、⾃分の⽿で聞いてみるということは、物件探しだけでなく街の探索という意味でも楽しいと思います。

住宅購入で無理のない資金計画を立てる事は、将来の暮らしを変えるポイントとなるので、わからない事などあった際には、是非ご相談ください。

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