2023/7/20 15:45 (2023/7/20 16:50更新) ⽇本経済新聞 電⼦版

不動産経済研究所(東京・新宿)が20⽇発表した2023年1〜6⽉の新築分譲マンションの平均価格は、東京23区内が前年同期に⽐べ約6割⾼い1億2962万円だった。上半期では1973年の調査開始以来初めて1億円を突破した。資材⾼や⼈⼿不⾜などで建築コストが膨らんでいる。

⾸都圏(東京都、神奈川県、埼⽟県、千葉県)の平均価格も、前年同期⽐1.4倍の8873万円だった。20年(6671万円)を⼤きく上回って過去最⾼を更新した。東京都下(前年同期⽐3.5%⾼)や神奈川県(同7.6%⾼)など23区の周辺部も上昇した。

1〜6⽉は都⼼5区を中⼼に平均価格が1億円を超える⾼額物件が相次ぎ登場した。三井不動産レジデンシャルなどが2⽉に販売を開始した「三⽥ガーデンヒルズ」は最低価格が2億3000 万円台。全1002⼾のうち、半数程度が売り出されたとみられる。契約状況は⾮開⽰ながら「想定を超える反響で好調に推移している」(同社)という。

消費者の購⼊意欲を⽰す契約率は72.7%と前年同期⽐0.6ポイント上昇し、好調の⽬安である7割を3年連続で上回った。新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に移⾏し、勤務をテレワークから出社に戻す動きが進み、都⼼部や駅に近く交通の利便性に優れたマンションを買う需要は底堅い。

1〜6⽉の⾸都圏の発売⼾数は前年同期⽐17.4%減の1万502⼾だった。2年連続で同期間として前年を下回った。

6⽉の発売⼾数は前年同⽉⽐微減の1906⼾で22年11⽉以降、8カ⽉連続で前年同⽉を下回った。1〜6⽉の発売⼾数を地域別でみると、東京23区は4902⼾と前年同期に⼤型物件の「晴海フラッグ」が売り出された反動もあり9%減少した。神奈川県(36.3%減)や埼⽟県(23.1%減)といった郊外は価格⾼騰を背景にモデルルームの集客が伸び悩み、顧客の動きを⾒極めるために販売時期を遅らせる物件も⽬⽴つ。

不動産経済研究所は23年通年の⾸都圏の発売⼾数は3万⼾と2年ぶりに3万⼾台を回復するとみる。⾜元は前年を下回る⽉が続いているものの、松⽥忠司上席主任研究員は「東京23区や神奈川県などで⼤型物件の発売が控えており、秋にかけて新規供給が盛り返していく可能性もある」と話す。