60代の会社員である佐藤さんは、故郷の菩提寺にある先祖代々の墓について悩んでいました。「お墓参りの負担が増え、この先、子どもたちに継がせるのは難しい」と考える彼は、「墓じまい」を決意します。

日本では、2022年度に15万件以上の墓じまいが行われ、過去最多を記録しました。その背景には、家族構成の変化が大きく関係しています。国勢調査によると、夫婦と子ども、さらには三世代同居する家庭は減少し、単身世帯の割合が40年で倍増しています。社会全体の人口構造が変わるなか、弔いの方法も見直されつつあるのです。

墓じまいとは、一般的な墓石型の墓を撤去し、樹木葬や永代供養墓など、継承者が不要な形へ移行することを指します。大規模な霊園では比較的簡単に手続きができ、たとえば東京都の多磨霊園では、改葬許可申請を経て墓石の撤去が可能です。

しかし、菩提寺から改葬する場合は注意が必要です。撤去費用は1㎡あたり10万~15万円ほど。さらに、石材業者への依頼や整地、閉眼供養などで費用が加算されるため、31万~70万円が相場となります。ケースによっては、151万円以上かかることもあります。

菩提寺の檀家から離れる際、「離檀料」が問題になることもあります。しかし、全日本仏教会によれば、「離檀料に法的根拠はなく、支払う義務もない」とのこと。見性院(埼玉県熊谷市)の橋本住職も、「離檀料を請求すること自体が仏教の教えに反する」と述べています。数十万円の離檀料を求められた場合には、国民生活センターなどの専門機関への相談が推奨されています。

佐藤さんが注目したのは、近年人気の樹木葬や永代供養墓です。これらの形式では、後継者がいなくても供養が続けられるため、都市部で需要が高まっています。たとえば、東京・築地本願寺では、合同墓を導入し、門信徒以外でも利用できるように改革が進められています。

宗教ジャーナリストの鵜飼秀徳氏は、「墓の形式が変わっても、先祖を弔う心は変わらない」と語ります。墓じまいを通じて、先祖と向き合うことで自分自身を見つめ直す機会にもなるのです。

佐藤さんは、家族と相談しながら墓じまいを進めることにしました。「墓じまいは、家族や先祖とのつながりを絶つものではなく、新しい形での弔いを始めることだ」と考えたからです。

不動産に興味のある読者の皆さんも、今後の人生設計の中でこうした選択を考えることがあるかもしれません。墓じまいは単なる「終活」ではなく、未来への新しい形の継承を意味するのです。あなたも家族と一緒に、新しい弔いの形を考えてみてはいかがでしょうか?

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