「そのうち考えよう」が最大のリスクになる理由。

千代田区マンション情報館です。

マンションは「一生に一度の買い物」と言われますが、実はその出口戦略である「相続」については、多くのオーナー様が判断を先送りにされています。

最近、不動産の売却や住み替えのご相談とセットで、驚くほど増えているのが「遺言」に関する話題です。現場で多く耳にするのは、「まだ元気だから」「うちは家族仲が良いから、話し合えばわかるはず」という声です。

しかし、現実は非情です。相続が「争族(そうぞく)」に変わる瞬間は、常に突然訪れます。本人の意識がしっかりしているうちは円満だった家族が、いざ相続が発生し、具体的な数字を目の前にした途端、主張がぶつかり合う。こうしたケースを、私たちは数多く見てきました。相続において「そのうち考えよう」という先送りは、トラブルを育てる時間を与えているのと同じなのです。

2. なぜ「不動産」があると相続は一気に難航するのか

なぜ不動産が絡むと、現金だけの相続よりも遥かにこじれやすいのでしょうか。理由はシンプルです。不動産は「1円単位できれいに切り分けることができない」からです。

現金1億円であれば、子供2人で5,000万円ずつ分けるのは容易です。しかし、評価額1億円のマンションが1戸あった場合、どうなるでしょうか。

  • 一人が「住み続けたい」と言い、もう一人が「売って現金化したい」と言う。
  • 一人が「今は不動産バブルだから高く売れる」と言い、もう一人が「思い出の家だから持ち続けたい」と言う。
  • 誰が管理費や修繕積立金を負担し、固定資産税を払うのか。

このように、不動産には「感情」と「実利」の両面が複雑に絡み合います。特に自宅として使用している場合は、生活基盤そのものがかかっているため、一歩も引けない事態に陥りやすいのです。

3. 遺言書は「家族の争いを止める」最強の法的ツール

こうした混乱を未然に防ぐ唯一にして最強の方法が「遺言」です。遺言書がある場合、原則として遺産分割協議を行う必要がなく、その内容に沿って手続きが進みます。

ここで重要なのは、法律的な強制力だけではありません。残された家族にとって、遺言書は「親がどのような想いで、誰に何を託したかったのか」を示す確固たるエビデンスになります。「親がこう決めていたのなら仕方ない」という納得感は、感情的な対立を鎮めるための最大の処方箋です。争いが発生してから話し合うのではなく、争いの余地を最初からなくしておくことこそが、家族への最後の優しさと言えるでしょう。

4. デジタル時代の新常識:オンライン作成とデータ管理の進化

「遺言」と聞くと、重々しい公証役場へ足を運び、証人を立てて……というハードルの高さをイメージされるかもしれません。しかし、近年の法改正やIT技術の普及により、そのハードルは劇的に下がっています。

現在は、専門家との面談をメールやオンライン会議(Zoom等)で完結させ、文案を作成する仕組みが広がっています。これにより、足が不自由な方や、仕事が忙しくて平日に公証役場へ行けない方でも、自宅にいながらにして本格的な遺言準備が進められるようになりました。

また、管理の方法も進化しています。これまでは「金庫に隠して見つからない」「紛失した」といったリスクがありましたが、最近では自筆証書遺言を法務局で保管する制度や、信託銀行・専門機関による電子データ管理サービスも充実しています。「どこにあるか分からない」という事態を防ぎ、確実に意思を届ける環境が整っているのです。

5. 60代からの「プレ相続」準備とおひとり様の備え

遺言を準備する年齢層も、かつての「80代・90代」から「60代・70代」へと若返っています。定年退職を機に、人生の棚卸しとして遺言を作成する方が増えているのです。これは、認知症などにより意思能力が低下する前に、自分の意志を明確にしておきたいという賢明な判断です。

特に、近年急増しているのが「お子様のいないご夫婦」や「おひとり様」の遺言です。子供がいない場合、相続権は配偶者だけでなく兄弟姉妹(あるいはその子供である甥・姪)にまで及ぶことがあり、手続きが非常に煩雑になります。遺言書一つで、配偶者にすべての資産を残す、あるいは特定の団体に寄付するといった指定がスムーズに行えるため、今の時代、遺言は「全世代にとっての必須スキル」になりつつあります。

6. 都心3区(千代田・港・中央)のマンション特有の相続リスク

特に私たちが拠点とする千代田区、そして港区・中央区といった都心エリアのマンション所有者の皆様には、より強い危機感を持っていただきたい理由があります。それは、資産価値があまりにも高すぎる点です。

都心の築浅マンションは、1億円を超える物件が珍しくありません。資産価値が高いということは、それだけ相続税の負担が大きくなる可能性があるということです。また、複数の相続人がいる場合、その価値の高さゆえに、誰がそれを引き継ぐかで「取り分」の差が大きくなりすぎ、不公平感が爆発しやすいのです。

7. 評価額と実勢価格の乖離が招く「不公平感」

もう一つの盲点は「評価額」の問題です。相続税評価額(路線価等)と、実際に売れる価格(実勢価格)には大きな差があります。 例えば、「長男には1億円相当の不動産を、次男には1億円の現金を」と分けたつもりでも、不動産を実際に売ってみたら1億5,000万円になった、となれば次男は不満を抱くでしょう。逆に、不動産を相続した長男が、多額の相続税を支払うための現金が手元になく、結局マンションを手放さざるを得なくなるという皮肉な事態も起こり得ます。

こうした「数字のズレ」をあらかじめ計算に入れ、誰にいくら残すべきかをプランニングしておくことは、都心マンションオーナーにとって避けては通れない課題です。

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8. 遺言は形式よりも「意思の表明」に価値がある

遺言書を作成する際、完璧な法律用語を並べること以上に大切なことがあります。それは「付言(ふげん)事項」です。法律的な効力はありませんが、「なぜこのような分け方にしたのか」「家族に今後どう生きてほしいか」を書き添えるメッセージ欄のことです。

「母さんの介護を最後までしてくれた長女に、この家を託したい」「兄弟で助け合ってこの資産を守ってほしい」。そんな一言があるだけで、形式的な書類は「家族への手紙」へと変わります。法的な強制力だけでなく、この「心のフォロー」こそが、相続を円滑にするためのエッセンスなのです。

9. まとめ:資産を「引き継ぐところまで」がオーナーの責任

不動産は、持っている間だけが資産ではありません。それを次の世代へ、あるいは自分の望む形へ、どのように「着地」させるか。そこまで含めて、初めてマンションという大きな資産の運用が完結します。

千代田区・港区・中央区のマンションは、非常に流動性が高く、価値ある資産です。だからこそ、その価値が家族をバラバラにする原因になってはいけません。

「まだ早い」は、準備を始めるのに最適なタイミングです。 まずは、自分の持っているマンションが今いくらで売れるのか、そして将来誰にどうしてあげたいのか。そんなシンプルな問いかけから始めてみませんか。遺言は、終わりを準備するものではなく、残された家族の未来を守るための「新しいスタート」なのです。