2024/2/29 12:46 日本経済新聞 電子版

不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)がまとめた、2023年の日本国内の不動産投資額は前年比4%増の3兆3947億円だった。世界の不動産投資額が2年連続で減少するのと対照的に伸びた。

海外と比べ低金利が続いたことに加え、国内の物流倉庫やホテルなどの活発な投資が後押しした。

オフィスビルやホテル、物流施設、住宅などへの投資額をまとめた。世界の投資額は前年比44%減の5941億ドル(約89兆円)だった。各国の中央銀行の金利引き上げに伴い、キャップレート(期待利回り)が上昇して不動産価格が下落したことが響いた。地域別ではアメリカ大陸が50%減、EMEA(欧州・中東・アフリカ)で43%減、アジア太平洋は17%減だった。

日本では不動産会社やファンドからの投資が減少した一方、一般事業会社が3406億円と前年比で72%増加し、投資額全体の1割を占めた。JLLリサーチ事業部の谷口学シニアディレクターは「インフラ企業で本業の落ち込みに備えたポートフォリオ拡大の動きがある」と分析する。

セクター別ではオフィス投資額が前年比26%減の1兆1096億円と、統計を始めた07年以降で最も少なかった。23年は「虎ノ門ヒルズ」「麻布台ヒルズ」などの大型オフィス供給があり、空室率上昇や賃料減少の懸念から、海外投資家を中心に取得が落ち込んだ。一方で物流倉庫・工場が53%上昇し、ホテルは07年に次ぐ高水準だった。

インフラ系企業など一般事業会社の投資が増えた世界の都市別投資額では東京が5位と、前年の16位から大幅に上昇した。24年について谷口氏は「オフィス空室率が横ばいになったほか、賃料も下げ止まり傾向にある」と、オフィス投資の回復を見込んで4兆円規模になるとみる。

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