米ハイアット・ホテルズ・コーポレーションは27日、同社初の温泉旅館を大分県由布市、鹿児島県屋久島町、神奈川県箱根町で2026年以降に開業すると発表した。平均客室単価は10万円台前半を想定する。200億円規模のファンドを立ち上げ、開発費用を調達する。円安を背景にインバウンド(訪日外国人)が増加するなか、地方での富裕層の受け皿を整える。

温泉旅館のブランドは「ATONA(アトナ)」。ハイアットと新興企業のKiraku(キラク、京都市)が50%ずつ出資して設立した共同出資会社が運営する。
宿泊料金は需要や季節によるが、1泊1室あたり約10万円からの見込みだ。旅館は宿泊費用に夕食や朝食を含む1泊2食付きが多い。アトナは3〜4泊程度の滞在を期待しており、泊食分離にして温泉地の飲食店での食事も楽しんでもらう。

1軒あたりの客室数は30〜50室を想定する。温泉のほか、バー、スパを備える。自然や歴史などの文化体験も提供する。農業体験をして収穫物を料理、サイクリングツアーといった内容を想定している。リピーターの訪日客も多く、地元の人しかしらないような体験を望む外国人が増えるとみている。

ハイアットは今回の3地域に加えて、全国5地域程度で旅館を検討しており、年間複数軒の開業を目指す。開発費用を調達するため不動産ファンドを立ち上げた。同社の関連会社やキラク、竹中工務店が出資し、100億円の資金を集めた。最終的に200億円規模に増やす。

日本人にはなじみの深い旅館だが、多くの外国人にとっては新鮮な宿泊施設だ。日本ハイアットの坂村政彦副社長は「他の外資系ホテルが手掛けていない旅館という宿泊体験を提供する。ハイアットの世界のポートフォリオの中でも重要な役割を果たすと期待している」と話す。



ホテル業界に詳しいCCCマーケティング総合研究所(東京・渋谷)の新橋実所長は「日本ではホテルよりも旅館の方が圧倒的に数が多い。より様々な地域に出店する際に有名温泉地は魅力的だ」と話す。

アトナの主なターゲットは訪日客だ。日本政府観光局によると、4月の訪日客数は前年同月比56%増の約304万人となり、2カ月連続で300万人を超えた。
国内勢ではオリックス・ホテルマネジメントや星野リゾートが訪日客の需要も見込んで温泉旅館に力を入れている。ハイアットは世界で約4400万人の会員組織を生かして集客する。宿泊客の7〜8割が訪日客になる見込みだ。

ハイアットは国内で20軒のホテルを展開する。ホテルでも静岡や金沢、北海道など地方への出店を増やしている。アジア太平洋地域の代表を務めるデービッド・ユデル氏は「訪日客は東京や京都だけでなく、地方都市に行くことによって得られる体験を求めている」と話す。
26年に札幌に「ハイアットセントリック札幌」が開業予定だ。

ホテル業界は新型コロナウイルス禍から回復し、投資が活発になっている。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、日本国内のホテルへの国内外からの総投資額は2024年は前年比5%増の4350億円の見通しだ。

ただ、日本は海外と比較すると、高級ホテルが少ない。外資系ホテルの事業拡大の余地がある。不動産データ分析大手の米コスター・グループ傘下のSTRによると、東京の23年度の平均客室単価(ADR)が約177ドル(約2万7700円)だったのに対して、米ニューヨークは7割高い304ドル、英ロンドンは約4割高い約245ドルと世界の主要都市とは差が大きい。特に地方で不足しており、ほかの外資も出店を増やしている。

英IHGホテルズ&リゾーツは今後4年程度をめどに日本で運営するホテルを現在の2倍の約100施設に増やす計画だ。年内に長崎で「ホテルインディゴ」ブランドで開業し、25年には群馬県に初の出店を計画している。

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