2024/4/15 22:05 日本経済新聞 電子版
国内ホテルの2月の客室単価は1万8915円と前年同月比25.5%上昇した。円安が進み、米国や欧州、オーストラリアからの長期滞在が増えるなど需要が増加。清掃費などのコスト増も要因だ。客室単価が前年を上回るのは26カ月連続で、観光シーズンに向け上昇が続く可能性がある。
不動産データ分析大手、米コスター・グループのSTRが客室単価を集計した。春節(旧正月)は回復が遅れている中国以外の台湾、香港や東南アジア諸国からの訪日が目立った。2月としては新型コロナウイルス禍前の2019年を35.3%上回る水準だ。
地域別では東京や大阪、京都、北海道など「外需の大きい地域が客室単価の上昇をけん引した」(STRの桜井詩織マネージャー)。平均稼働率は前年同月比2.9ポイント上昇し75.0%となった。
コロナ禍の影響が一服した22年初めから上昇傾向が続く。23年には最繁忙期の12月に2万668円を付けた。訪日客には高級な「ラグジュアリーホテル」など高価格帯の需要も旺盛だ。日本政府観光局によると、2月の訪日客は278万8000人と前年同月比で89.0%増えた。
コロナ禍前の19年2月比でも7.1%増だ。
週末を中心にした国内客の需要も堅調だ。都心部での音楽などの文化イベントやスポーツイベントに合わせ、地方からの観光客が増加。ビジネスホテルなど手ごろな価格の宿泊施設の利用も目立つ。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2月の日本人の延べ宿泊者数は3670万で前年同月比4.2%増えた。
20年に開業した東京・竹芝のラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」は全室に電子ピアノを置き臨海部をのぞむ眺望が特徴だ。「訪日客は米国に次ぎ中華圏からも増えている」(同ホテル)という。国内客も35%程度を占め、都心部に住む富裕層などの利用が多い。
データ分析のメトロエンジン(東京・品川)によると、単価上昇は続く見通しだ。同社は需給動向などをもとに人工知能(AI)を使い1年先まで最適な宿泊料金を提示するシステムを提供。ホテル側はダイナミックプライシング(変動価格制)の導入などに活用している。
客室単価の上昇が続く背景には、コスト高も影響している。人手不足が続く中、ホテルのフロント係や清掃など従業員全般の賃金が上昇。シーツなどのリネン交換や各種アメニティーの負担も増え、ホテルの収益を圧迫している。
客室の供給拡大には限界も出てきた。人手不足は特に地方で深刻で、需要があってもスタッフを確保できず稼働率を上げられない施設がある。新規開業も相次ぐが「建設費の高騰で計画の遅れやストップする案件が出てきた」(コンサルタントのオラガ総研の牧野知弘代表)。需要に供給が追い付かない状態が続けば、単価上昇も加速しそうだ。
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