2023/12/4 5:00 ⽇本経済新聞 電⼦版

スノーシーズンを迎えたニセコの時給が上昇している。インバウンド(訪⽇外国⼈)の需要は本格回復が進み、新型コロナウイルス感染拡⼤前の⽔準を超える⾒込みだ。時給2000円を超える求⼈も出始め、事業者は「想定を上回るペースで時給が上昇している」と話す。

ニセコでホテルやコンドミニアムを運営するHTM(北海道倶知安町)は冬季期間の清掃やベ ッドメークのアルバイト募集で、時給を前年に⽐べ1割ほど引き上げ1800円以上とした。1900円前後で雇う場合が多く、経験や技能次第では最⼤2200円で採⽤する。

HTMのホテル清掃で時給が2000円を超えるのは初めて。時給を上げたことで応募者が増え、週4〜5⽇間シフトに⼊れる⼈材を選ぶこともできたという。12⽉中旬から年明けにかけては満室での稼働が続くが、「今年は問題なく営業することができるだろう」(HTMのグループゼネラルマネージャー、グレッグ・ターナー⽒)。

昨シーズンの⼈⼿不⾜を踏まえ、夏前には2000円程度での採⽤を検討する事業者もいたがそれを上回るペースで時給がアップする。ニセコ地区で清掃を⼿がける事業者は「想定より早いペースで時給が上がっている」とこぼす。

倶知安町の宿泊施設のキャパシティーは約1万6000⼈(9⽉末時点)と、⼈⼝(1万5000⼈弱、10⽉末時点)を上回る。ホテル事業者は「労働⼒だけではまかなえない。周辺⾃治体や札幌圏、道外から⼈材を取り込むため時給を上げる必要がある」と指摘する。

2022年10⽉の⽔際対策緩和後から徐々にインバウンドが回復し、スノーシーズンにはアジアや欧⽶、オーストラリアから多くの観光客が訪れた。最終的に22年度のインバウンド宿泊延べ数は38万⼈泊で、コロナ禍の影響が少ない19年度と同⽔準まで回復した。

⼀⽅で規制緩和が遅れ訪⽇需要の⾒通しが不透明だったため、スタッフの確保が進まなかった。急回復する需要に⼈員確保が追いつかず、地区内でのサービス業関連の有効求⼈倍率が22年12⽉には9倍を超えるなど、⼈⼿不⾜が深刻化した。多くの宿泊施設はサービスの質を保つために提供客室を減らし、全室稼働を諦めざるを得ない状況だった。

倶知安観光協会(倶知安町)によると23年11⽉中旬時点で、12⽉から24年3⽉までの町内のホテルやコンドミニアムの予約状況は前年同期に⽐べ平均で約2割⾼いという。同協会の鈴⽊紀彦事務局⻑は「インバウンドの宿泊延べ数はコロナ前を上回って過去最多になるのでは」と⾒込む。

インバウンド需要の本格回復を⾒据え、⼩売事業者や飲⾷店も⼈⼿確保を急ぐ。

セコマ(札幌市)が運営するコンビニエンスストア、セイコーマートの「ニセコひらふ店」(倶知安町)では繁忙期の冬に通常の時給に上乗せする特別⼿当を100円引き上げ600円とした。合わせると1700円を超える⽔準となる。「⾼い時給を設定し、全国の⼈材を呼び込みたい」(セコマの丸⾕智保会⻑)

12⽉に倶知安町内で新店舗を設ける⽜丼店「すき家」も⾼い時給を設定している。⽇中の時給は1500円で、24年1⽉末まではオープン⼿当を合わせ1650円とする。札幌市中⼼部の店舗は時給1000円強、東京・新宿の店舗でも1200〜1300円台が多いのと⽐べ⾼⽔準だ。

リクルートによると、北海道の10⽉平均時給は1069円で3カ⽉連続で過去最⾼を更新した。ニセコ地区は上回る⽔準だが、それでも⼈⼿確保は難しい。あるホテル清掃事業者は1300円前後で募集をかけても「全く集まらない」と明かす。

HTMのターナー⽒は「海外に⽐べればまだ安い。今後は2000円程度を出さなければ集められなくなるだろう」とみる。回復するインバウンド需要と⼈⼿不⾜を背景に、ニセコの時給はさらに上昇する可能性がある。

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