増え続ける「相続人なき遺産」

日本では、相続人がいないために国庫に帰属する財産が年々増加しており、2023年度には 1015億円 に達しました。これは、わずか10年で3倍に増えた計算になります。背景には、単身高齢者の増加や少子化があり、この流れは今後も続くと予想されています。

この記事では、「相続人のいない遺産」がどのように扱われるのか、そして自分の財産を有効に活用する方法について解説します。

通常、亡くなった人の財産は配偶者や子ども、兄弟姉妹などの相続人に引き継がれます。しかし、相続人がいない場合、遺産は以下のような流れで整理されます。

✅ ① 家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任
✅ ② 未払いの税金や公共料金などの債務を精算
✅ ③ 相続財産の残りを国庫に納める(国の財産になる)

つまり、相続人がいないと、最終的に 国の資産 になってしまうのです。

「相続人なき遺産」が増えている理由として、主に以下の3つが挙げられます。

(1) 単身高齢者の増加

厚生労働省の調査によると、2023年時点で 65歳以上の単独世帯は約855万人 に達し、10年前と比べて増加傾向にあります。さらに、2043年には 65歳以上の一人暮らしが1084万人 になると推計されています。

(2) 少子化と未婚率の上昇

若い世代の未婚率が上昇し、兄弟姉妹や親族もいない高齢者が増えています。特に、2043年には 70歳以上の未婚男性の割合が6割、女性が3割 になると見込まれています。

(3) 遺言書を作成する人が少ない

日本では、遺言書を作成する人がまだ少なく、「自分の財産がどうなるのか」を考えずに亡くなるケースが多くなっています。

「自分の財産を国に納めるのではなく、有効に使いたい」と考える人も多いでしょう。その場合、以下の方法を検討することができます。

(1) 遺言書を作成し、特定の相手に遺贈する

相続人がいない場合でも、遺言書を作成しておけば、自分の財産を希望する相手に遺贈できます。

親族以外の知人や友人へ財産を遺す
生前お世話になった介護施設の職員やヘルパーへ贈与
法律事務所や信託銀行に依頼して管理を依頼

適切な遺言書があれば、国庫帰属を避けて、自分の希望する相手に遺産を残すことが可能です。

(2) NPOや慈善団体への寄付(遺贈寄付)

近年、「遺贈寄付」を希望する人が増えています。

環境保護団体へ寄付(森林保全、動物保護など)
奨学金財団へ寄付(経済的に困難な学生の支援)
社会福祉法人やNPO法人へ寄付(医療・福祉・災害支援)

遺贈寄付を行う場合、弁護士や税理士と相談しながら手続きを進めることが重要です。

(3) 信託を活用して財産管理を任せる

「家族信託」や「民事信託」を活用すると、財産管理を専門家に任せることができます。

認知症になった場合でも財産管理ができる
財産を段階的に相続させることが可能
国庫に財産が吸収されるのを防げる

信託銀行や専門の士業と契約を結ぶことで、自分の意思に沿った財産管理が可能になります。

「相続人のいない遺産」が 1000億円を超え、今後さらに増加すると予想されています。しかし、事前に遺言書を作成し、遺産の使い道を決めておくことで、自分の資産を有効活用することが可能です。

親族や知人に財産を残したい場合 → 遺言書を作成
社会貢献したい場合 → NPOや財団への遺贈寄付
自分の財産をしっかり管理したい場合 → 信託を活用

「自分の遺産がどうなるのか?」を考え、早めの対策をすることが大切です。今後も、相続や不動産市場に関する最新情報をお届けしていきますので、ぜひチェックしてください!

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